時を超えて 52 ページ26
今日は、彩も里香も仕事でいないから、子供たちにご飯を食べさせて、寝かしつけた後に食器を洗っていた時のこと。
トントン
玄関を叩く音がした。
｢はーい｣
(えっ？誰だろ？)
ガチャ
扉を開ければ、そこには3人くらいの人がいて、皆同じ服を着ている。
｢あの、突然すみません。
こちらに彩という者はいますか？｣
｢ええ、いますけど？｣
｢ホンマにいた…｣
どうやら言葉的にはこの地方の人のようだ。
｢あの〜あなたは？｣
｢あっ、申し遅れました。
俺、恵って言います。
あの、ところで彩さんは？｣
｢今、ちょっと出てて｣
｢そうか、んー…｣
｢良かったら、ウチで待っててもらってもええですけど？｣
｢えっ！？｣
｢もうすぐ帰ってくると思うんで｣
｢それなら、お言葉に甘えて。
すみません｣
｢いえいえ、どうぞ｣
見た感じ全然悪い人そうでも無くて、部屋に入れたのまでは良かったけど、知らない人を三人も、しかも男の人を中へ通すことは良かったのだろうか。
由依は不安になってくる。
すると、子供たちの笑い声が聞こえてきた。
お茶を注ぐ手を止めて、声のした方を覗くと、子供たちとも遊んでくれていていた。
由依はホッとした気持ちになる。
(悪い人やなくて良かった)
と心から思う由依なのであった。
やっと家に着いた。
今日は久々に里香とクエストに行って、結構楽しかった。
｢ただいま」
｢おかえりー｣
子供たちはすでに寝ているようで、由依の声がリビングから響いてくる。
｢いや〜、疲れ…！！！｣
そう、リビングのドアを開け一歩踏みだした俺の目に飛び込んできたもの。
｢誰？｣
｢やっぱり、彩や…変わてないなぁ」
｢ん？」
｢なんか、彩に用があるって言うから、ここで待ってもらったの｣
｢え。俺のこと、知ってるんか？」
｢あぁ」
「どこか会った？」
「あぁ昔な」
「昔…悪い覚えてないねん」
俺の中にあるのはここ数年の記憶。
そしてこの男がそれ以前の俺を知ってる事に、恐怖を感じた。
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作者名：ハル | 作成日時：2017年1月2日 19時
