歪みと距離 13 ページ13
３年生になると、彩とクラスは離れ、ほとんど彼女と会うことはなくなった。
「みるきー」
「ん？」
「私、体育委員になったー！」
茉由は自らが強く希望していた委員会に入れて、喜んでいるようだ。
「みるきー、は何委員になった？」
「私も一緒」
「え！？マジ？」
「うん」
体育委員会。
別になりたかった訳では無いけれど、３年生は絶対何かの委員会か係に入らなければならないから、茉由がいるであろう体育委員会に入った。
今日は放課後に、各委員会会議が予定されている。
だから、私は放課後、3-2の教室へと向かった。
「それじゃあ始めます」
委員長の言葉とともに始まった会議は、五月に行われる体育祭の話だった。
「先生」
前にいる同級生が、質問のようだ。
「出場選手決めなんですけど、当日出れない人はどうしたらいいですか？」
「あー、山本か」
「はい」
山本…？
彩のことだろうか。
胸がざわつく。
「んー、とりあえずこっちで決めてから言うわ」
それから先の会議の内容頭に入らなかった。
会議が終わってすぐ、質問したいた男子生徒に声をかける。
「ねぇ、山本って、山本彩？」
「え、あぁそうだけど」
「出場出来ないって」
「あー彼女さ、今学校来てないんだよ」
「え」
「なんか、入院してるらしくて」
えっ、彩が入院してるってどういう…
考えるよりも先に、私はある人に電話をかけていた。
「お姉ちゃん！」
「ん？何そんな大声で」
「この辺で入院するならどこ！？」
「入院！？誰か入院したの？」
「いいから早く！」
「んー、難波病院じゃないかな？
一番この辺で大きい病院といえば」
一度行ったことがある、そんなに遠くない。
走った。走って走って走って。
ただひたすらに
彩の元へ。
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作者名：ハル | 作成日時：2017年1月2日 19時
