時を超えて 73 ページ47
「あそこか」
見張っている者の気配がある。
けれど彩と里香はスルスルっとまるで忍者のように、気づかれず目的の建物を目指した。
(何とも立派な館だな。きっとあの一番てっぺんやろな)
上へと登り、屋根の上から耳を済ます。
すると、声がした。
そして、それは彩の中のなにかがを切れさせた。
思いっきり、感情のままの力で屋上を破った。
「どうするさや…え！？」
ドォォォォォオンン！！
突然のことに横に居た里香は「うそぉぉぉぉぉぉぉん！！！！」と叫んでいる。
その衝撃に美優紀の傍に居た男は咄嗟に離れた。
一番に彩の目に入った美優紀は、両腕を拘束されており、服は切り裂かれていてはだけている。
彩は何も言わずに、そっと上着をかけた。
美優紀は震えていて、涙を目にいっぱい貯めている。
「さっ…彩？」
「美優紀さんもう、大丈夫です。ちょっとだけ、待っててください」
そう言うと安心したのか、意識を失ってしまった。
「怪我してる」
仲間を逃がすために無理をしたのだろう。
治癒魔導士なのに。
「里香、頼む」
美優紀を、彩は里香に預ける。
そして、彩は男を睨みつけた。
「んだよ、お楽しみのところだったのによ」
そいつがパチンと指を鳴らせば、人の気配が増した。
そして、囲まれてしまう。
「2人とは舐められたもんだな。
まぁもうどっちにしろ、お前らは逃げられねぇ」
その言葉を聞き終わる前に、彩は敵兵に向かって、切りかかった。
殺さない。ただ、意識を奪う箇所を狙えばいい。
彩はどんどん敵を倒していく。
かすめる刃が彩の体力を奪っていった。
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作者名：ハル | 作成日時：2017年1月2日 19時
