番外編『ドキドキ！学校訪問☆』 ページ45
「偵察？」
「あぁ、不動の奴が『Aに星章の偵察行かせようぜ』と…」
部活が始まる前、佐久間は言いづらそうにAに告げた。
何と、他のライバル校の偵察係にAが選ばれるとは、
そんな風に思っているAだが、佐久間は不満そうだ。
「Aが星章に行って怪我でもしたらどうするんだ！」
「佐久間、私はそんなに弱くない」
「しかも不動は…！」
＿＿＿＿『え？大丈夫だっつーの。あの面有効活用すれば、星章くらい軽い軽い』
「なんて言ったんだぞ！」
「それもそれで凄いな」
一体不動はAの事を何だと思っているのか。
そして数日後、Aは制服を着て星章学園の前に立っていた。
ジャージでは流石にバレるだろうということで、有人の帝国時代からのファンという設定である。
とりあえずグラウンドに向かって歩いていくと、ユニフォームを着た集団が目に入る。
おそらく、あれがサッカー部だろう。
周りにはファンらしき人達がちらほらいるので目立つことはなさそうだ。
ある程度人が集まったところで、練習が始まる。
やはり、帝国を下しただけのことはある。
テクニックも、フィジカルも、技も強い。
しかも、個人の実力だけでなく、連携も滑らかだ。
Aは持ってきたメモ帳にせっせと書き込みを続けていく。
顔を上げると、有人が星章のメンバーに指示を飛ばしているところが目に入った。
しっかりやれているようだ、と嬉しい気持ちになる。
それもメモ帳に書き込むことにした。佐久間が喜ぶ。
すると、突如大声が響く。
「危ないッ！」
どうやらパスミスか、ギャラリーの方にボールが飛んでいってしまったようだ。
ボールの着地地点には人がいる。
女の子は動けないようだ。
距離はそう遠くない。
Aは走り出した。
「屈め！！」
そうだ、どうせもうばれてしまうだろうし、少し技を使ってもいいだろうか。
走りながら指笛を吹き、ペンギン達を呼び出す。
「『クイーンズペンギン』！」
ボールをゴールに向けて蹴り飛ばす。
そこまで距離もなく、誰にもブロックされなかったボールは、綺麗な射線でゴールに入った。
女子の方へ向き合う。
「大丈夫か」
「は、はい！」
女子は少し顔を赤くしてこくこく頷いた。
Aはくるっと有人達の方を向いた。
星章学園のメンバーは誰だか分かっていないのかぽかんとしているが、有人は気づいたのだろう。
顔がそれを物語っている。
Aは大きな声で叫んだ。
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作者名：むめい | 作成日時：2023年2月23日 11時
