番外編『テスト勉強』 ページ44
A達は、寮でテストに向けての勉強をしていた。もしもFF本戦へ出場していたらテスト勉强どころではなかったが、悲しいことに帝国学園は予選敗退。
時間はたっぷりあった。
「A、これどうすんだ？」
「これは因数分解してから計算しないと狂うぞ」
「え、まじ？」
「まじだ」
Aは学年トップのため、他の皆に勉強を教える側だった。
サッカー部員のレギュラーは大体成績は良いため、教えるのも簡単である。(良い例が源田)
もちろん、何事にも例外はつきものである。
「もう無理だ…」
「課題終わんねぇ…」
Aは頭を抱える佐久間と辺見を横目に見ながらお菓子を口に入れた。
「これ2年生の復習だぞ」
「え、こんなのやったか？」
「やった」
「終わりだ」
源田も根気よく教えるが基礎から理解していない。
授業中はずっと寝ているので分からなくて当たり前だが源田は気づいていないのか一々ショックを受けている。
「この棒おいしいな」
「それはトッポだ」
「でも歯に詰まる」
「我慢しろ」
Aは早々に勉強を切り上げて皆が持ってきたお菓子を口に詰め込み続けている。
不動もやることがないのか暇そうにお菓子の解説を続けている。
今度はトッポに手を伸ばすとチョイチョイと服を引っ張られる。
振り向くと、風丸が困ったような顔でこっちを見ていた。
「どうした？」
「…ぃんだ」
「何だって？」
不動がメンチを切るように聞き直すと風丸が大きな声で言った。
「勉强が…分からないんだ…！！」
「確かに、帝国に比べると雷門は多少偏差値が下がるからな。不思議ではない」
「申し訳ない…」
風丸の本来の所属校は雷門。帝国は全国一の名門校に対して雷門の偏差値はそこまで高い訳では無い。
ある程度の勉強は免除されてるそうだが風丸はしっかり点を取りたいとのこと。
「不動は暇だろう。教えてやれ」
「めんどい」
「ふどー君サイテー」
源田が不動に頼むがすげなく断られる。辺見が茶々を入れるが一瞬で源田に引き戻された。
「私が教えてやろう」
「いいのか…？」
しょんぼりしていた風丸が顔を上げる。
Aは聖母のような顔で微笑んでいた。
風丸はちょっとドキッとしたが聞こえてきたのは鬼のような言葉だった。
「私が、お前をこの学園のトップに引き上げてやろう」
「………え？」
後日。
風丸は驚異の上位六位を獲得したのだった。
「何だあれ」
「勉強地獄で死んだ風丸だ」
「この鬼」
「不本意だ」
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作者名：むめい | 作成日時：2023年2月23日 11時
