【イナアレ】女帝、サッカーを知る。 (ページ31)

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観戦ページ31

今日はFF本戦、星章学園VS王帝月ノ宮中だ。
Aと風丸と不動は、有人に誘われたこともあって数人が足を運んでいた。
佐久間や辺見は源田に見張られて勉強中である。

「不動が来るなんて珍しいな」
「暇だったんだよ」

Aは、私達と見たかったんだな素直じゃないやつめ、とにっこりし、風丸は今源田がキレているから寮にいたくなかったんだろうなあ…、と遠い目になった。

「何にやついてんだ」
「いや別に」

試合が始まる。ビデオを見る限り、双方かなり強いチームだ。きっといい試合になるだろう。そう思っていたが、A達が目にしたのは己の目を疑うような光景だった。

試合は３対０。王帝月ノ宮の圧勝。星章学園は必殺タクティクス『グリットオメガ』で負傷。担架で運ばれていった。もちろんその中には有人もいた。

「すげえ威力だな…」
「とても必殺タクティクスとは思えないな…」

二人とも『グリットオメガ』の威力に驚いている。Aはタクティクスよりも有人の安否が気になって仕方がない。
ちらりと二人を見ると風丸も気になっていたようだ。
不動に了承を取ってから有人のところに行ってみることにした。

医務室へ行けば、星章学園のメンバーがベッドに横たわっている。
有人を見つけ歩み寄った。

「有人。体は大丈夫か」
「義姉さん…」

体を起こそうとして顔をしかめるのを止める。

「無理に動くな」
「すみません」
「謝るな。とにかく休むといい」
「はい…」

申し訳なさそうな顔で謝罪する有人を見て何だか悲しい気持ちになる。
風丸は有人と二言三言話すとすぐにこちらに来た。

「有人。今日はありがとう。お大事に」
「安静にしてろよ。鬼道」
「あぁ。二人ともありがとう」

そう言って医務室を出る。不動のところへ向かおうと歩き出すとAがどこかへ行こうとする。
慌てて捕まえると不貞腐れたような顔で答える。

「…文句を言いに行こうと」
「文句？」
「王帝月ノ宮に、もっと他のやり方はなかったのかと…」

風丸が黙り込んでいふのに気づくと慌てたように付け加える。

「もちろん本当に言いに行こうとは思っていないが」
「いや、変わったな、と思っただけだ」
「変わった？」

目を丸くする。
風丸は笑って続けた。

「今までは廃部廃部言ってただろう。サッカーも嫌いだって」

そう言うと顔を少し赤くして俯きがちに答える。

「私にとっても、大切になったんだ」
「…そうか」

何が？とは聞かなかった。