不動 ページ13
「不動、どこにいる。不動！」
不動明王。三年になって帝国学園に転入してきた男。話によると総帥がスカウトしたらしい。
だが、人格は相当な難ありだった。
基本的に練習はサボろうとするらしい。らしい、というのはAが来る頃には不動はいるからだ。源田によれば、佐久間と風丸が引きずってきているらしい。
この時ばかりは二人は協力しているそうだ。
しかし今日は、佐久間が不動を呼びに行ったときにはもういなかったらしい。探そうとしていたが、キャプテンが練習にいないのは話にならない。
それにこういう仕事は生徒会長のAの仕事だ。
「(帝国学園が不良を輩出など許さん…！)」
そんな面持ちである。
しかし学園内はもうほぼ探し尽くした。これ以上の範囲は校則に反する。
そう、特に屋上なんかは…。
「(不動なら有り得るッ！！！)」
崩れ落ちたくなるのを堪え、向かったのは校則で立ち入りが禁止されている屋上。禁止されている理由はよく分からない。
何故か鍵が空いていた扉を体を使って押し開けると誰もいない。くまなく探すが見つからない。
「誰もいないか…」
帰ろうとすると小さな音が聞こえた。振り返ると扉のついている建物の上に不動がいた。
つい先程まで寝ていたのか、眠そうな顔をしている。
「不動！」
「何だよ、俺の昼寝の邪魔すんなって」
「今は練習時間のはずだ。昼寝の時間ではない」
「いいじゃん、別に。俺は上手いし」
暖簾に腕押し状態。こうなったら最終手段に出よう。Aはそう考えた。
「あッ、てめッ引っ張んな！」
「うるさいお前が悪い」
実力行使である。腕をグイグイと引っ張り起こそうとする。ちなみにちょっと危ないらしいので真似しないでね。
だがしかし不動はサボっていようとも男子。力では敵わなずびくともしない。
流石に無謀を繰り返すAではない。諦めて隣に座る。
「何で座るんだよ」
「プレッシャーをかけて寝づらくしてやる」
「あーなんか佐久間の言った意味分かったかも…」
「どういうことだ」
「コッチの話」
よく分からないが不動はここから動こうともしないし、寝ようともしなかった。諦めたようだ。
「なぜ参加しないんだ。十分に実力はあるだろう」
「今の雰囲気見て言ってんのか？あの中に入ろうとは思わないね」
「お前も原因の一因だろ」
「否定はしない」
自覚はあるのか。
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作者名：むめい | 作成日時：2023年2月23日 11時
