106:嘘も偽りも ページ7
.
『私はずっと…！』
「A、ソクジン」
ホソク先輩の声に弾かれたようにそちらを見る。
『はい』
一旦休止したソクジンくんと私を見て、きゅっと口角を上げる。
「ちょっと小腹空かないかなと思って。あのチュロス、美味しそうじゃない？結構頭使ったし」
『あ、食べたいです…！』
「俺は賛成です…けどAは肉食べなくて良いの？ケバブとか探さないで良い？」
『この前散々バランス悪いとか言ったくせに』
「随分と肉食だったみたいだから」
『甘いものも好きだもん』
「1年生の3人組はさ、ほんとに仲良いよね。今はジミンがいないけど」
「高校受験での同士って感じですよ」
「2人は塾が一緒なんだったね」
「はい。そういえばホソク先輩とAが知り合ったのも塾って聞いたんですけど、どこの塾ですか？俺被ってないですよね」
きゃーと甲高い絶叫がして、近くのレールをジェットコースターが走り抜けていく。
ホソク先輩はソクジンくんを見返したまま口を開かない。
ソクジンくんもぴたりと口を閉ざしている。
こんなの話したって、どうしようもないのに。
ソクジンくんだって薄々分かってるはずだ。
『……そんな事聞いてどうするの？単科の塾いっぱい行くからさ、あんまり覚えてないよ』
私が話しても見向きもせず、ホソク先輩を真っすぐに見る。
「俺は覚えてます。中学2年の6月。英語の単科塾の自習室で、寝てても勉強してるAを見て良いなって思いました。
凄く頑張ってるな、仲良くなりたいなって」
『ちょっと』
「そこに嘘も偽りもありません」
ホソク先輩がおもむろに下を向いて、緩く口を開けて笑う。
「ははっそっか。ソクジンは真っすぐだね。
…報われると、良いね」
どういうこと？
「見てくださーいこの結果！今日の記録の中で一番点数高いみたいですー！」
成績表をもらったヨンジュン先輩が合流する。
目指してはいたとはいえまさかの成績に驚く。
全員でヨンジュン先輩の手の中をしげしげと覗き込むと、取りこぼしは1問だけだった。
景品の交換コーナーは違う所にあるみたいで、進みだした方へついて行く。
なし崩しになったホソク先輩の発言が、ズキズキと響く。
最後の最後、遣られた視線が気だるげで、一瞬でぷつぷつと鳥肌が立つような…
動けなくなっちゃうような、そんなオーラがあった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 273人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Suzy(プロフ) - あさなさなさん» 💜💛♥ (3月7日 1時) (
レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - Suzyさん» コメントありがとうございます！ちょこっと攻めました…！笑 (3月5日 21時) (レス) @page48 id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - ソクジナの攻め💛楽しみです(^_<)-☆ (3月3日 2時) (レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - るるさん» ご期待に応えられるような更新だったでしょうか…(ドキドキ) Xは(@asana_sana16)です。鍵付・成人表記があれば大丈夫です！興味を持っていただきありがとうございます！ (2月2日 21時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます！！めっちゃ楽しみにしてましたー！！Mくんとのこれからがどんな風になるのかドキドキします…！お話変わるのですがあさなさなさんはXやってますか？あればフォローしたいので教えて欲しいです！ (1月31日 21時) (レス) id: 345da165ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あさなさな | 作成日時：2023年11月23日 0時
