ハニー＊バター＊スイート 3【HS】

143:中間試験の結果 ページ44

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『分かった』




それぞれの教科の点数はどれも、好得点だった。
数学は満点が取れたし、そうでなくても全て9割超えできた。こんなの快挙だ。

全て返ってきて、実はかなり自信があった。


…本当に。



















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＿＿＿＿＿



絡んだ指からそっと甲まで包むように握られて、でも私はその手を握り返せなかった。




「お試しでいい」




『お試し…』




「1か月。

…だけど、ちゃんと俺の事を考えて欲しい」




『……ん』




西に傾いた太陽が、窓から強く射してくる。
高い鼻梁の反対に濃く落ちた影を、なんとなく見ていた。

目を見てしまったら、ダメだと思った。




「できれば、毎日一緒に帰りたい。

デートも、できるだけ断らないで。

手を繋ぐ以上の事は…しないから。最後のチャンスを頂戴」




手、繋いでたら、ホソク先輩に…




『えっと…手は、学校の近くでは、ちょっと…』




「……それは流石に駄目か。

分かった。じゃあ俺たち、内緒で付き合う。それなら良い？」




『…うん』




私が賭けに負けたのに、譲歩してくれた。
だから頷くしかできなかった。

カタンと小さな音がした。


誰かがドアの前から去っていく。

光が反射していたけれど、見えた黒髪の中に少しだけ金色が混ざっている気がした。




『ソクジンくんごめん』




思わず廊下に向かったら、後ろから抱きしめられた。




「お願いA…今は、俺の彼女でしょ」




『でもっ…』




今のがホソク先輩じゃなかったって確かめたいだけなの。

きっと違うって…


それもダメなの？




「1か月…俺のことだけ見てよ」




ハッとした。

もしホソク先輩だったとして弁解に向かうのは、あまりに心無い。
前に重心が乗っていた身体は、引かざるを得なかった。




『手を繋ぐ以上の事はしないって言った』




「ごめん」




『全教科満点なんて私に勝ち目ないよ…』




「ごめん」




『違うの、ごめん…ソクジンくんごめんね』




振り返ると、避けていたその瞳に吸い込まれた。

そうやって、私だけを悪者にしてしまわないでよ。
ソクジンくんだっていっぱいズルいのに…



口約束でも、突っぱねられる程図々しくないよ。




「…家まで送りたい。良い？」




黙ったまま頷いたら、「じゃあ帰る準備しよっか」って何事も無かったみたいに自分の机へリュックを取りに行った。

私も机の方に歩くと、カサっと足元で何かを踏んだ。


総合2位と書かれた個人票だった。


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