141:目から鱗 ページ42
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考えた事無かった。
「努力もさ、楽しんでできたら良いじゃん!やってみて向いてなかったら、また次の事を考えれば良いんだし」
『行き当たりばったりになりませんか?』
「表面的に色んな事してても、案外軸って一本通るものだと思うよ。Aがなりたい姿の為に、選ぶ手段はなんだって良い」
ポロっと目から鱗が落ちたみたいだった。
車の振動が止まって、あっという間に家に着いてしまった。
シートベルトを外して、運転手さんに感謝と挨拶をして降りる。
ホソク先輩も降りてきてくれて、家の前でペコペコ頭を下げる。
「そんなしたら悪化しちゃうよ」
『ホソク先輩のおかげで、かなり楽になりました』
体調も、それ以上に心まで。
頑張ったのは無駄じゃないって思えたし、自分の好きな事を考えてみても良いのかもしれない。
欲しい言葉をくれるし、欲しい体温をくれる。
私も、そんな人になりたい。
『本当に、家まで送って下さってありがとうございました』
「うん。明日のベストフォトの結果が楽しみだね。因みに俺はAに入れたから」
『なっえ?…あの座ってる写真ですか?』
「あんまり可愛いから職権乱用して、写真館の人にデータもらったよ。53番のデータくださいって」
『や、やです!』
「でも秘密だからね。時間割アプリの背景にしてみた」
『ホソク先輩!』
見せらせた画面の中に本当に私がいて、咄嗟にスマホに手を伸ばしたら、笑いながら車の中に戻っていった。
すぐにウィンドウが開いて、枠にひじを乗せる。
「じゃあね、また明日」
『ホソク先輩…』
なんだかやるせない思いを顔に滲ませたら、「ふふっまたね」て楽しそうに頬杖をつく。
車は進みだして、手を振るホソク先輩に会釈してちょっぴり手を振り返してみた。
それだけでドキドキして、自分の部屋まで駆け込む。
こんなの付き合ってるみたいだよ。
好き。大好き。
『おもち』
枕元のウサギを抱え込む。
ホソク先輩とお姉ちゃん、何もなかったんだ。
色々話してくれて嬉しい。
自然と肩の力が抜ける。
その日は宿題もなかったし、予習もしないでそのまま眠った。
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「A」
『……』
「約束、だから」
『そ、だね』
「…ごめん」
『満点とか、取れちゃうんだ…』
絡められた指先は切なくて、私たちは2人で泣きそうになってた。
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Suzy(プロフ) - あさなさなさん» 💜💛♥ (3月7日 1時) (レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - Suzyさん» コメントありがとうございます!ちょこっと攻めました…!笑 (3月5日 21時) (レス) @page48 id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - ソクジナの攻め💛楽しみです(^_<)-☆ (3月3日 2時) (レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - るるさん» ご期待に応えられるような更新だったでしょうか…(ドキドキ) Xは(@asana_sana16)です。鍵付・成人表記があれば大丈夫です!興味を持っていただきありがとうございます! (2月2日 21時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!!めっちゃ楽しみにしてましたー!!Mくんとのこれからがどんな風になるのかドキドキします…!お話変わるのですがあさなさなさんはXやってますか?あればフォローしたいので教えて欲しいです! (1月31日 21時) (レス) id: 345da165ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさなさな | 作成日時:2023年11月23日 0時