137:言えない言葉を補って ページ38
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『そのまま置いてきぼりにするんですか』
「え…？」
『帰りますね』
「待って」
背中が離れたと思ったら、後ろからお腹に腕が回ってきて、本棚の陰に引きずり込まれた。
「お願い、あと少し待って…」
『ホソク先輩、約束破るもん…信じられない。2人で逢うのはやめって…』
スル…と顎を指が這うから、思わず顔を上げる。
「そんなの了承した覚えないけど」
……ああもう、頭の中が乱される。
恋人みたいに触れて、見つめて、そんなのされて…
私が抗えるはずないのに。
『それならどうして夜…来てくれないの？』
「それも…お願い。待って」
『私には言えない事ばっかり…ナムジュン先輩の方がよっぽど誠実に』
「待ってて欲しい。それしか言えないけど、絶対に、嘘じゃないから」
ホソク先輩…
私は待つ立場じゃなくて、ずっと追いかけてるんです。
ナムジュン先輩に認めてもらえるのはいつになるのだろうか。
文化祭の後の期末テストで、お母さんの満足いく点数が取れる？って…
顔を背けると、両頬を包まれた。
視線を外すと、鼻先が触れ合うくらい近づく。
「本当に…Aだけなんだ」
ぽつんと落とされた心が、肌から視線から、ひしひしと入り込んでくる。
どうしてか、…あんなに不安だったのに分かってしまった。
ウナ先輩とかお姉ちゃんとか関係ない。
今言葉にできなくても。
私たちは、本当に好きな人の手を……ただ取りたいだけ。
『Mくん…』
言った瞬間、窓を越えて触れ合った夜が一瞬で蘇る。
もっと深くまで教えられた、覚えたての熱も…
自然と踵が浮く。
「Aがダメって言ったのに…」
2人きりになると、もう、どうしようもなく…
甘いの、知ってるから。
「μ」
『えむく…』
「みゅう」
『ん…』
自習コーナーから遠い、天井まである本棚に囲まれた暗がり。
Мくんの腕の中で、何度か角度を変えて重なり合う。
隙間で熱く漏れる吐息も、きっと誰にも聞こえてない。
ただ柔らかい唇を、熱を、静かに交換してそっと離れる。
まだ離れがたくてその胸に顔をうずめたら、ぎゅっと抱きしめてくれる。
言えない言葉を補うように、強く。
ホソク先輩の想いに堂々と応えたいのに、隠れるしかないのが惨めだ。
釣り合わないまま、認めてもらえないまま、ホソク先輩に縋ってしまってる。
Mくんだったら…って。私、卑怯者だ。
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Suzy(プロフ) - あさなさなさん» 💜💛♥ (3月7日 1時) (
レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - Suzyさん» コメントありがとうございます！ちょこっと攻めました…！笑 (3月5日 21時) (レス) @page48 id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - ソクジナの攻め💛楽しみです(^_<)-☆ (3月3日 2時) (レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - るるさん» ご期待に応えられるような更新だったでしょうか…(ドキドキ) Xは(@asana_sana16)です。鍵付・成人表記があれば大丈夫です！興味を持っていただきありがとうございます！ (2月2日 21時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます！！めっちゃ楽しみにしてましたー！！Mくんとのこれからがどんな風になるのかドキドキします…！お話変わるのですがあさなさなさんはXやってますか？あればフォローしたいので教えて欲しいです！ (1月31日 21時) (レス) id: 345da165ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あさなさな | 作成日時：2023年11月23日 0時
