111:言ってよ ページ12
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『ごめん、やっぱりジミンくんに譲るよ』
「ちゃんと言えよ」
ダンッと机の上に雑多に置かれていた筆記具が、一瞬浮いて派手な音を立てた。
ジミンくんが机を叩いた。
「ちょ、ジミナ」
「コロッと自分の考え変えんなよ。俺が何言っても反発するくらい、したい理由があったんだろ。
譲ってと言ったけど、今のは違う。
そうやって唇噛んで思ってる事圧し潰すくらいなら言ってよ」
『確かにジミンくんの方が適材だなと思った』
「そんな事聞いてない」
『怖くなった。やっぱり人前に立つの苦手だし、そんなのできないよなって思った』
「そうじゃないでしょ」
『いいって、譲るってば』
「そうやって何でも隠すのが美徳だとでも思ってんの?」
隠してなんか…もう私の主張なんて必要ないから、言わないだけで…
「言ってよ。Aがやりたい事言ってんの、何気に感動だったんだから」
だけどこの役職は譲らないけどね。という言葉が聞こえてきそうで、ジミンくんらしい励ましなのか何なのか、肩の力が抜ける。
『……変わりたかったんだよ』
「……」
『今の自分を変えたかった。ちゃんと生徒会役員だって思ってもらえる仕事がしたかった。
実行委員長の補佐は無理でも、用具の責任者の補佐なら頑張れると思った。
でもジミンくんに譲るよ』
「A…」
『流石に生徒会長とか無理だし、今もその事聞いただけで指先が冷えてくくらい怖い』
ゆっくり立ち上がったジミンくんが、私の方に回ってくる。
掬うように私の手を取ると、「本当、凄く冷たい」と呟いた。
「ヨンジュン先輩。多分絶対俺一人で補助できると思うんですけど、Aと一緒にしちゃダメですか?」
『え…』
「俺、Aとしたいです」
「んー俺に決定権がある訳じゃないけど、良いんじゃない?適材適所で分けますって事で。
それに去年結構大変だったから、増えるのはシンプルに嬉しい。
指示系統がごちゃついたら混乱させてしまうから、3人のチームワークが問われるね」
『本当にそれでも良いんですか?ヨンジュン先輩の負担は…』
「取り敢えずみんなに聞いてみよう。ま、渋い顔されても、頑張りますで乗り切ろう!」
『ありがとうございます…』
「Aちゃんとジミナは全く同じ立場だからね。どっちがオマケとかじゃないから。
ジミナは自信あり過ぎ。もうちょっと謙虚さを覚えたら?」
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Suzy(プロフ) - あさなさなさん» 💜💛♥ (3月7日 1時) (レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - Suzyさん» コメントありがとうございます!ちょこっと攻めました…!笑 (3月5日 21時) (レス) @page48 id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
Suzy(プロフ) - ソクジナの攻め💛楽しみです(^_<)-☆ (3月3日 2時) (レス) id: f57ab1c531 (このIDを非表示/違反報告)
あさなさな(プロフ) - るるさん» ご期待に応えられるような更新だったでしょうか…(ドキドキ) Xは(@asana_sana16)です。鍵付・成人表記があれば大丈夫です!興味を持っていただきありがとうございます! (2月2日 21時) (レス) id: 4d4d65fc30 (このIDを非表示/違反報告)
るる(プロフ) - 久しぶりの更新ありがとうございます!!めっちゃ楽しみにしてましたー!!Mくんとのこれからがどんな風になるのかドキドキします…!お話変わるのですがあさなさなさんはXやってますか?あればフォローしたいので教えて欲しいです! (1月31日 21時) (レス) id: 345da165ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさなさな | 作成日時:2023年11月23日 0時