OFF ページ24
貴女side
お互いの顔が見えるように
向き合うように座った
光は緊張しているのか、
ずっと膝の上に手を置いていて
ハンカチを取り出し、汗を軽く拭いた
このままだと話せないし
私から自己紹介からした方がいいよね
「私の名前はAAです
八乙女くんとは2年間同じクラスだった」
八「だよね…
俺、記憶喪失って…知ってるか…
その教えて欲しいんだ…昔のこと」
昔のこと…
私の言葉だけで光を壊しそうで怖い
もし、私たち付き合ってたんだよって
言ってしまえば、どうなるの…?
「本当に教えてもいいの…??
今、新しい人生を歩んでるなら
それでいいんじゃないのかな?」
私には、涼介がいて
光には、萌ちゃんがいる
昔のことを知ったところで
何も変わらないはずなのに
どこかで変わってほしいって思ってる
八「教えて欲しい…
全部じゃなくてもいいから
薮に聞いたら、Aさんがっていうから
何か分からないかなって思って…」
多分、薮くんは光には全て伝えるほど
勇気がなかったのか
それとも私に気を使ってくれたのか…
薮くんが考えてることが分からない
八「おれ、大切な人がいたんだ…すっごい
情景までは出てくるんだけど
顔がハッキリ思い出せなくて」
「はい、これ…
私が教えられるのはここまで
自分で探さないと意味がないと思う」
私はあの日…
光と出会った時忘れた
携帯とストラップを光の前に出した
八「どこか見覚えがあるんだよ…
俺、これ拾って…確か…
電話かかってきて…あの時」
本当に覚えてないのってぐらい
情景だけを淡々と話していった
「八乙女くん、私…」
八「えっ、俺た…」
私は席を立ち上がり
言いそうになった言葉を止めた
多分この先の言葉は聞けない
いや、聞きたくなかったから
「それ!…っそれ要らないから
八乙女くんに渡しておく…
記憶戻るといいね…
じゃあね、ばいばい…」
何か言い出した彼の言葉を待たずに
その場を後にしてしまった
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作者名:葉月 | 作成日時:2017年4月30日 23時