スターレベルテスト5 ページ6
目があった気がした。なんて
コンサート中のファンサービスが自分に向けられたと信じて疑わないアイドルのファンみたいなことを、つい思ってしまった。
驚いて逸らしてしまった目線を再び彼に向けると、万人に好かれそうな笑顔で爽やかに全参加者に挨拶をしていた。
というかなんか彼、見たことがある気がする。
記憶力には自信があるが、彼のことがどうにも思い出せず唸っていたらタクトとオウスケに心配された。
何でもないよと返すと、今度は後ろから肩を叩かれた。振り返ると先程挨拶を交わしたシュアイボが目を輝かせながら「Aヒョン、TWICE先輩のメンバーに似てるって言われたことない?」と英語混じりの韓国語で聞いてくる。
いきなりどうしたんだ、しかも似てるなんてことあるわけがない。彼女たちの名誉の為にも否定するが、「えー」と納得いっていない顔をされてしまう。表情が豊かで可愛い子だ。もしかしたらTWICEが好きなのかもしれない。
結局ソンハンビンの既視感を解明できないままマスター達が登場し、すたーれべるてすとが始まってしまった。
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練習生といえど、やはり実力の優劣には差があるらしい。
ステージの完成度から判断した実力で五つのレベルに組み分けられる参加者を見ていると、それを強く感じた。
レベルを言い渡される時の表情は、時々切なくなるほど強張っている。そりゃベネフィットもかかっているし、ここでの注目具合で今後視聴者にどれくらい興味を持ってもらえるかに関わってくるから当たり前なのかもしれない。
私は今の所全く緊張していないが、その余裕と落ち着きが自分が場違いであることを強く感じさせた。
でも流石にステージに立ったら緊張するのかもしれない。自分の踊りと歌を誰かに披露したことなんて、小学校のお遊戯会以来だから。
マシューとソンハンビンが呼ばれ、ステージの待機へと向かった。同じカナダチームだけど参加が決まった時期の違いから、私とマシューは各々で練習し個人で探索戦に挑むこととなったのだ。
マシューはチラリとこちらを見た気がしたが、申し訳ないけど撮影が始まってる以上関わりを持つことは避けたかった。
まあマシューは、私の応援なんてなくても上手くやるだろう。
マシューの練習姿を何十回も見てきた私は、彼の受ける評価に期待して、彼のステージを心待ちにした。
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作者名:すいみ | 作成日時:2023年3月12日 3時