魅力発表会3 ページ39
.
そりゃ性別が違うんだから比べることでもないと思うけど。
「...今日から鍛えようかな、ジウンヒョンの2倍ムキムキになる」
「だめ、今のままでいて」
学ランが着こなせなかった悔しさから筋トレ宣言をすると、すぐさまジウンから却下される。
「ムキムキになったAは可愛くない」とのことらしい。私が彼の中の可愛い枠に入っていたことに驚きだ。彼はタクトとかアントニーとか、幼いあどけなさのある子にしか可愛いセンサーが働かないと思っていたから。
ジウンの言葉に、「確かにAの顔でヒョンの2倍大きかったら気持ち悪いかも...」とジャンハオが同意する。
気持ち悪いとは失礼な。
「ジウンヒョンもAの着てみたら?」
「ヒョンピンク似合いそうだね、見たい見たい」
人の服で勝手な提案をするリッキーと同調するジャンハオに、ジウンは「ちょっと着てみたいかも」と言う。
私の上着を持ってくれていたハンビンは貸していいのか目配せしてくるが、別に減るものじゃないし「全然いいよ」と促すとハンビンは恐る恐るジウンに私のジャケットを手渡した。
シャツ一枚で待たされていたジウンは、早速Gグループ専用のジャケットに袖を通す。
「A、やっぱキツイかも...」
「いけるよヒョン、あとちょっと!」
袖に腕は通せても肩部分上手く羽織ることができないジウンに、もう後一踏ん張りと応援する私。ジャンハオは声には出ていないが肩が震えているので笑っているのが分かるし、ハンビンは何故か心配そうな顔をしている。
なんとかジウンにジャケットを着せ、彼が腕を大きく回した瞬間だった。
ビリッ
不穏な音と共にみんなの動きが止まった。
ジウンが恐る恐る腕を上げてみると、ジャケットの脇の下の部分が縫製に沿ってぱっくり破けてしまっていた。
「フッ...あははははは!」
「だから俺は心配だったんだよ...」
笑いで崩れ落ちる私とジャンハオ、ひとりごちるハンビンと「やってしまった」という顔をするジウン。リッキーは遂に呆れている。
「Aごめん...」
「大丈夫、笑いをありがとうヒョン」
「自分の衣装なのに呑気だね」
この後衣装スタッフに報告に行っても替えは無いとのことで、私は横が少し破けた衣装でお披露目会に参加した。
後日SNSに掲載された写真に「なんかAのジャケット破れてない?」「Aもしかしてエムネに嫌われてる?」と困惑の声が上がったのは、また別の話である。
510人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すいみ | 作成日時:2023年3月12日 3時