魅力発表会1 ページ37
1月5日 昼過ぎ ソウル某所
「緊張するねー、Aは大丈夫？」
「さ、さむくて死にそう...」
今日ボーイズプラネットに参加している全練習生は自然豊かな宿舎を離れ、ソウルの街中に移動していた。何故こんなところにいるのかというと、「魅力発表会」というスタークリエイターの皆さんと初めて直接お目にかかるお披露目会に参加するためだった。
今はまだ準備中のため、私たちは広い倉庫のような場所で待機させられている。如何せん広い上無機質な空間のため、暖房が効いているのか分からないぐらいに冷え込んでいた。極寒の1月のソウルなんだから当たり前だ。
本日の衣装はシグナルソングの収録の時にも着用した、この番組専用の制服だ。一人一人少しずつアイテムが違うが、私はスタンダードなジャケットとカッターシャツだった。右隣にいるジャンハオのネクタイ無しバージョンである。
首元が少し寂しいが、衣装合わせの時にタクトと同じようなリボンを付けられそうになり断固拒否した結果、首元のアイテムはなしとなった。
つまり、制服だけじゃこの空間は寒すぎるのだ。
外に出る時はダウンが貸し出されるようだが、正直今すぐにでも着させて欲しい。じゃないとスタークリエイターの皆さんを見る前に三途の川が見えてしまう。
寒さのせいで歯をガタガタ揺らし震えていると、ジャンハオは名案を思いついたかのように真剣に語りかけて来た。
「A...おしくらまんじゅうしようか」
「ジャンハオの体温全部奪っていいならやってあげてもいいよ」
予想もしない提案に左隣にいたリッキーは苦笑いしている。全く、人の命が掛かっているのにふざけたことを言うものだ。
私は頬を膨らませ、いかにも不満げな顔を作ってジャンハオを睨みつけた。
「A、そんな顔したって怖くないよ」
「ヒョンAを怒らせたの？」
声を弾ませて会話に混ざってきたのはハンビンだった。この人最近いつもジャンハオと一緒にいるな。
正にジャンハオあるところにソンハンビンあり、である。
「だってジャンハオがいつもふざけてるから」
「僕は寒がってるAを助けようとしてあげたんだ、感謝してよ」
「A寒いの？」
私は頷く代わりに冷えた右手をハンビンの首元に宛てがうと、彼は「わっ」と声を漏らししっかり驚いてくれた。
「どう？冷たいでしょ」
「びっくりした、心臓止まるかと思った」
驚きで胸を抑える彼を見て、悪戯が成功したようでケラケラ笑ってしまう。
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作者名：すいみ | 作成日時：2023年3月12日 3時
