シグナルソングテスト4 ページ31
テストを終えた日の夜は想像以上にお祭り騒ぎだった。
皆プレッシャーから解放されたのが嬉しいのか、アカペラ大会は開かれるわ、マフィアゲームは始まるわ、極め付けにはチェンクァンルイによる伝統舞踊のパフォーマンスが廊下で繰り広げられた。
これに関してはお金を払いたいくらい見応えがあり、
Kグループの練習生も観客として混ざっていた。
圧巻のパフォーマンスを外野としてぼけっと鑑賞していると次はダンスバトルが始まり、なぜか私が巻き込まれそうになったので急いで階段を下りその場から退散する。
実はテストが終わってから、まだユジンと話せていなかった。
テスト終了後両グループが部屋に集められた時に、ユジンが3スターに降格したらしいことを知った。
どう声をかけるか、そもそも私なんかが何か話しかけていいのか思い悩んでるうちにベネフィットの結果発表がお開きになり彼は部屋に戻ってしまったのだった。
私は今日も当たり前のように夕飯を食べなかったので(これはケイタに怒られた、そろそろ夕食時に食堂に強制連行されそう)食堂で会うこともなく、そのまま夜になってしまっていた。
後日会った時でも良かったのだが、やはりどうしても伝えたいことがあって私はKグループのフロアに降り立った。
こちらのフロアに来たはいいもののユジンの部屋がどこか分からないから、適当に廊下に出ている人に声をかけようとして、偶々近くにいた背中に呼びかけた。
「あの、ユジンの部屋どこか知らない？」
「あ、Aだ」
歯ブラシを片手に振り返ったのは、まさかのソンハンビンだった。タンクトップに短めのハーフパンツと、あまりにも格好がガキ大将だったため全く気が付かなかった。
「...寒くないの？」
「ん？あぁ、Aにこの格好見られるの恥ずかしいな」
そう言う彼は本当に恥ずかしいらしく、眉を下げて笑った。「恥ずかしい以前に風邪をひかないかが心配だけど」そう伝えると「Aに心配して貰えるのは嬉しいよ」と斜め上の回答をする。彼って実は天然だったりするのだろうか。
「ユジンの部屋はね、左側の奥から2番目だよ。さっき見かけたから部屋にいると思う」
「そっか、ありがとう」
ユジンの部屋を突き止めることができ、その場を後にしようとして進めた歩みをふと止めた。ハンビンにも会えたら言いたいことがあったのだった。
私は体を反転し、再びハンビンに向き直る。
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作者名：すいみ | 作成日時：2023年3月12日 3時
