スターレベルテスト3 ページ4
まだ揃いきっていないのか、両手で数えられるほどの練習生に拍手で私たちは迎え入れられた。
「こんにちは、カナダから来た21歳のソク・マシューです」
「こんにちは、僕もカナダ出身のパク・Aです。22歳です。よろしくお願いします」
緊張をしていないのか、いつもの調子で自己紹介をするマシューに慌てて自分も続けた。焦ったからかちょっと噛んでしまった気がする。恥ずかしい。
また軽い足取りで階段を登るマシューに数歩分遅れて続いた。マシューの足取りは確かで、きっとあの9人分の"選ばれた者"のための椅子に向かっているのだろう。
私はそこは無理だな
マシューとは途中で方向を変え、Gグループエリアの"その他の子"のための席に向かった。映画館では真ん中の列で鑑賞するタイプなので、ここでも真ん中あたりのステージの見やすい位置を選んだ。
少しマシューの様子を伺おうと振り向くと、席についたマシューから「ヒョン、こっちじゃなくていいの?」と声を掛けられた。大丈夫という意味で首を振って、自分の選んだ席に腰をかける。
席選びを終えて一息ついたつもりでいたが、なんだか右から視線を感じて落ち着かなく顔を向けた。するとばっちり目の合った子が「わっ、」と驚いたような声をあげてしまった。
「えっと...イ・ダウルくん?ごめんね、びっくりさせちゃったかな」
「あいえ、そうじゃなくて...」
もごもごと要領を得ない彼に、首を傾げる。よく見ると周りの子たちも私に視線を向けていた。わぁ、だなんて声を漏らしている子もいる。
「(え、なに?私顔に何かついてる?それか女子なことがバレた?)」
私を凝視してくる一向の中、マシューだけがちょっと笑ってるのが見えた。ていうかニヤついてる?焦っている私の心情を嘲笑っているのかもしれない。腹立つ。
背中に変な汗をかく中、次の参加者がこの空間に入ってきた。一気に皆の注目がそちらへ向かい、人知れず安堵の息をついた。
新しく入ってきた彼は日本出身らしいが、ぴょこぴょこと生まれたてかのような足取りと頬の可愛らしい赤らみは、よく欧米の人が日本に持つ"サムライ"のイメージから程遠い。
なんなら参加者に向けてハートを作って愛嬌をしている。韓国では愛嬌が挨拶の一種だと思っているのかもしれない。かわいい、そのまますくすく育ってほしい。
彼の若さを眩しそうに見ていたら、こちらに振り返って私の隣の席を指差した。
「あの...ここに座ってもいいですか?」
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作者名:すいみ | 作成日時:2023年3月12日 3時