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シグナルソング練習7 ページ15

次の日の朝は起きるのが憂鬱だった。

覚悟しろなんて言われても、これからどんな練習が待ってるのか考えたら心の準備なんて間に合わなかった。

ここに来てしまったからには、無難に目立たずひっそりと過ごせればそれだけで良かったのに、それすら許されないなんて。


あの酷評された練習の後、同じ3スターのリッキーやズーハオが共に練習を申し出てくれて一緒に振りを確認したが、振りが飛んでいるところも無ければ動きのディティールも気をつけているため、これ以上何を改善すればいいのか分からなかった。

力強さなんて今更どう捻出すればいいんだ。私が唸りながら悩んでいると、ズーハオもリッキーも一緒に悩んでくれた。


「Aは華奢だもんね、俺たちと比べちゃうと踊りが軽い印象はあるよ」


私よりも10センチほど身長が高く、体格のがっしりとしたズーハオに言われてしまえばそりゃそうだとしか返せない。リッキーもうんうんと頷いている。

これから一日の半分を筋トレに費やすくらいしないと彼らのような力強さは出さないのだろうが、そこまでの気力をこの合宿に対しては持ち合わせていない。


というかそもそも性別が違うのだから、どうしようもないではないか。


結局私は無策のまま、今日から始まる本格的な練習に突っ込むこととなってしまった。

_________________________________________


せめて最初は歌唱練習であってくれと神に願ったのも束の間、私の願いは打ち砕かれ3スターの練習生はダンス練習室に集められた。

しかも本日のコーチはよりにもよってヨンジュン先生だった。ダンスマスターなんて3択なのに。よりにもよって。

普段から神の存在なんて信じてないのに、こういう時だけ当てにするからバチが当たったんだろう。
小さくため息をつくと、運悪く練習生らに向き合って立っていたヨンジュン先生と目が合ってしまい、咳払いをして誤魔化した。よし、私の鬱々としたこの気持ちには気付いていないはずだ。


「みんな、オールスター目指すぞ!」


先生が私たちを鼓舞すると、練習生達は士気が上がったように声を張り上げた。この部屋全体の熱量が高まった気がした。


まずは曲全体の振り付けを確認した。昨日はサビしか習わなかったが、全体を通すと確かにパワフルで溌剌とした印象のある振り付けだ。練習風景を見た先生から、オールスターを狙えると称賛の言葉を貰い、皆は更に闘志を燃やした。

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作品ジャンル:タレント
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作者名:すいみ | 作成日時:2023年3月12日 3時

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