シグナルソング練習4 ページ12
プラネットキャンプ初めての夜、私は早々に部屋に閉じ籠り1日で蓄積した疲れをどうにか癒やすことに努めた。
全てを知っている(というか諸悪の根源である)プロデューサーの有難いご配慮により、私は一人部屋を与えられた。
次のミッションではどうなるかは分からないが、現時点では「建物の構造上部屋が余っている」という設定にして、2段ベットが2つも置かれた皆と全く同じ部屋を一人で贅沢に使わせてもらっている。
このことが他の子達に知れ渡ったら、怪しまれる以前に溜まり場にされそうで、それを避けるために誰にも話しかけられないうちに自室に退散したのだ。
そのおかげか、私は昨晩ようやく手にした1人の時間を満喫し、非常に目覚めの良い朝を迎えられた。
単純に身体が疲れていたからか、一日中気を張っていたからかいつもより遥かに深く眠れたと思う。
昨日のステージのために備えて、連日遅くまで練習していたことによる疲労も軽減された気がする。
朝食後、練習生は一同に呼ばれた。どうやらシグナルソングの練習が遂に始まるらしい。
私は朝には食欲が湧かない性質で食堂には行かなかったため、昨日振りに再会した練習生と挨拶を交わした。
スターレベルテストで近くに座っていた日本人練習生からは、昨晩の私の行方を不思議そうに尋ねてくる。
「A昨日どこ行ってたの、探したのにどこにもいなかったんだけど」
タクトらと同じようにケイタにも聞かれ「ずっと部屋に篭ってたんだ」と正直に答える。
「まじ?昨日全部の部屋覗いたけど見なかった気するんだけどな。誰と同部屋?」
「んー、当ててみて」
まさか次の部屋替えまで一人部屋であることを隠し通せると思っていないが、まだバレるには惜しいため誤魔化して見せる。ケイタは私のルームメイトをそんなに当てたいのか、黙り込んで思考に耽ってしまった。
果たしてそんなに真剣に悩むべきことだろうか。
まあ、何を言われてもまだ本当の事は教えてあげない。
「当てられたらあとでお菓子あげるよ」
そう言って既に集まり始めていた4スターの集団にケイタを放り込んで、私は3スターのグループの端に身を寄せた。
「あっ、」
よく見ずに場所を取ったら、隣にマシューがいてつい動揺してしまった。私から距離を置くと言ったのに、私から近づいたようになってしまいなんだか気まずい。
だがマシューはそんな私の様子を気に留めることもなく、平静とした様子で顔を私の近くに寄せた。
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作者名:すいみ | 作成日時:2023年3月12日 3時