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切なげなそのツッコミを受け流しつつ、私は足元に置いていた紙袋を手に取ると、それを彼の前に差し出した。
『どうぞ』
「僕に？」
ポカンとしながら己を指差す彼に、私はひとつ頷いて応える。
そして私から縦長の紙袋を受け取ると、その中身をゆっくりと取り出した。
綺麗に包装された紙を丁寧に開き、中から現れた円柱の筒箱に目を落とす。
「わー！なに！？お酒？」
『地元の酒類問屋に勤めてる友達に頼んで、取り寄せてもらったんです』
彼への贈り物に、金額設定を設ける事をやめたら、これに辿り着いた。
値段で対等に贈り物をしようと思ったら、どう頑張っても肩を並べられないからだ。
「日本酒やんな？初めて見る」
『あまり東京の方まで出回らないみたいですね』
白い筒箱の中央には、金色の線で六角形が画かれ、その中に“信州亀齢”の文字が収まっている。
「これで“きれい”って読むんねや！へぇ〜、すげー！ありがとぉ！」
目をキラキラと輝かせながら、嬉しそうに筒箱を眺める姿に、私は一先ずほっと胸を撫で下ろす。
喜んでもらえたようで何よりだ。
「帰ったら一緒に飲もうな？」
そして、ワクワクと目を細める彼に、私は心がむず痒くなるのを感じながら、またひとつ頷き返した。
『───隆平さん』
「ん？」
『お誕生日、おめでとうございます』
何よりも一番贈りたかった言葉だ。
すると、彼はフッと息を吐いて、そのまま優しい笑みを浮かべる。
「ありがとう」
それから、手元の筒箱を丁寧に紙袋へ戻すと、彼は自分の両肩をトントンと指先で叩き、小さく首を傾げた。
「手ぇ、のせて？」
『手？こう？』
何を考えているのか見当もつかなかったが、私は言われるがままに彼の肩へ手を置いた。
すると突如、体がふわりと持ち上げられた。
『えっ！？わ！』
彼の目線よりも高く上がり、慣れない視界と体制に、私は必死に彼にしがみついていた。
「あれ？なんか思ってたんと違うな」
『期待外れだったならもう下ろしてください･･･！』
「いやや」
『え！？』
「別に期待外れな訳やないし」
見下ろした彼の顔は、思っていたよりもずっと近くて、妖艶で、一瞬でほだされる。
そして、至近距離でまっすぐと見つめられたまま、彼が紡ぐ言葉に耳を傾ける。
「プレゼントありがとぉな。今年もAちゃんにお祝いしてもらえて、むっちゃ嬉しい」
『い、いえ･･･』
「フフ、照れた顔も可愛えね」
『またそういう事を･･･』
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めめこ(プロフ) - 楓さん» そう言って頂けると嬉しいです！読んで頂きありがとうございました！ (2022年11月26日 19時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - めめこさんのまるちゃんが大好きです！お誕生日おめでとうございました^ ^ (2022年11月26日 10時) (レス) @page35 id: 2ce83629e3 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - まいさん» 楽しんでもらえたなら良かったです！また読んで頂きありがとうございます！ (2021年3月15日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - バレンタインから1ヶ月楽しみに待ってました！ホワイトデーも｢キュン｣をありがとうございます。 (2021年3月15日 3時) (レス) id: 289a5ec9d0 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» ありがとうございます！これから少しずつお話増やしますので、また読みにきてください！ (2021年3月14日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2021年3月14日 15時
