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眉尻を下げて笑う彼に、雨の中に捨てられている仔犬を見捨てるような、居た堪れない気持ちになる。
おまけに、突発性難聴になってしまった私の耳の事まで考えてとわかれば、尚更である。
『別に、私も怒っている訳では･･･』
「あ、ほんまに？良かった〜！」
しかし、すぐにヘラヘラとしだした彼に、私はすぐに厳しい表情を作った。
『やっぱり怒ってます』
「ごめんて、今のは冗談です」
『･･････』
さっきまでのあの真剣な表情はどこへ行ったのやら。
溜息の1つも漏れそうだったが、またすぐに彼の表情が引き締まるのが見えて、私も自然と背筋が伸びた。
「でも、Aちゃんと結婚式を挙げたかったんは本当。まあ、神父さんとかもおらんし、完全に2人だけやから、真似事って言われたらそれまでやけど」
ちょっぴり気不味そうに私から視線を逸し、首の後ろを擦る。
年に一度しかない自分の誕生日なのに。
仕事で忙しいし、疲れてるはずなのに。
それでも、こうして私を想いやってくれている事が、たまらなく嬉しい。
私は手に持っていた紙袋をそっと足元に置くと、小さく首を横に振って、そのまま彼の肩口に額をのせた。
『ありがとうございます』
すると、耳元で彼がフフと笑う気配がして、それから頭を優しく撫でられる。
そして、彼の温かい手が私の両肩に添えられると、そのまま体を離された。
少し色素の薄い茶色の瞳と視線が交われば、そこに吸い込まれてしまいそうな感覚に陥って、もう逸らせなくなる。
それから、誘導されるように彼の口元まで左手を引き寄せられると、指先に触れるだけの口付けを落とされた。
『あ･･･』
しかし、ふと目に入った簡素な己の薬指に、とっさにその手を引っ込めてしまった。
途端、彼の表情も不安気に曇る。
「ごめん、嫌やった？」
『あ、いや！違います･･･！そうじゃなくて･･･』
もう、白状するしかないだろう。
引っ込めた左手の薬指を庇うみたいに擦りながら、私は恐る恐る彼を見上げ、口を開く。
『───すみません。その、貰った結婚指輪を･･･失くしてしまって･･･』
優しいような、冷たいような、感情の読み取れない彼の無表情に、やっぱり言うべきではなかったかもしれないという一抹の後悔がちらつき始める。
『ずっと探してはいるんですけど、見つからなくて･･･。でも、家の何処かにある事は確かなので、絶対───見つけますから･･･！』
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めめこ(プロフ) - 楓さん» そう言って頂けると嬉しいです！読んで頂きありがとうございました！ (2022年11月26日 19時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - めめこさんのまるちゃんが大好きです！お誕生日おめでとうございました^ ^ (2022年11月26日 10時) (レス) @page35 id: 2ce83629e3 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - まいさん» 楽しんでもらえたなら良かったです！また読んで頂きありがとうございます！ (2021年3月15日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - バレンタインから1ヶ月楽しみに待ってました！ホワイトデーも｢キュン｣をありがとうございます。 (2021年3月15日 3時) (レス) id: 289a5ec9d0 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» ありがとうございます！これから少しずつお話増やしますので、また読みにきてください！ (2021年3月14日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2021年3月14日 15時
