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辿り着いたのは、三角形の木造の建物の前だった。
「きれい･･･」
これまたおとぎ話に出てきそうな、木のぬくもりを感じる建物で、全面にはめ込まれた格子窓からは、室内の柔らかな明かりが漏れていた。
そして、扉の上に掲げられた大きな白十字───。
『開けて良いのかな？』
私は少し戸惑つつも目の前の扉に手を掛けると、そっと手前に引いて中を覗き込む。
控えめな照明と静寂に包まれた建物内は、まるで外の世界から切り離されたかのように、高貴で厳かな雰囲気をかもし出していた。
そして、己の足元から伸びる真紅の絨毯の道を視線で辿ると、その先に彼を見つけた。
見慣れない白のスーツを着た、見慣れた後ろ姿に、私は吸い寄せられるように足を踏み入れる。
背後でバタンと扉が閉まる音が鳴り響いて、それから彼がゆっくりとこちらを振り返った。
そして、よそよそしく立ちすくむ私の姿を認めると、彼は優しく目を細め、手をこちらに差し出す。
おいで。
声は無くても、そう言われているのだとすぐに分かる。
私はゆっくりと歩を進めながら、半ば混乱している頭でこの状況を整理しようとしていた。
今日って何の日だったっけ？
少なくとも私達の共通認識内で判断するならば、今日は彼の誕生日のはずだ。
じゃあここは？
両脇の参列者席や、彼の後ろに見える十字架から考えるに、どう考えても教会だ。
じゃあ、真っ白なスーツを着たあなたと、あなたが用意した真っ白なワンピースを着てきた私は？
この、状況は───
『───結婚式･･･ですか？』
彼の目の前で足を止め、私はそう言葉をつむいだ。
すると彼は、するりと流れるような動作で私の左手を取り、少し意地悪な笑みを浮かべる。
「せやで。って言ったら？逃げる？」
まあ、逃がせへんけど。と最後に付け足し、彼はくすりと笑った。
『逃げるっていうか、そもそもこの状況を飲み込めてません』
「あはは、相変わらずそういう事ははっきり言いよるなぁ〜」
『質問の答えをください』
「そして相変わらず厳しい･･･」
苦笑を浮かべる彼を容赦なくジッと見つめ、次の言葉を待つ。
すると彼は、普段のバラエティ番組なんかで見るような表情とは全然違う、大人びた笑顔を浮かべた。
「結婚式、挙げられてへんかったから。ほんまはもっと早くやれたら良かってんけど、なんだかんだ僕も忙しかったし、Aちゃんの耳の調子もあるしさ。ごめんな？こんなとこまで呼び出してもうて」
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めめこ(プロフ) - 楓さん» そう言って頂けると嬉しいです！読んで頂きありがとうございました！ (2022年11月26日 19時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - めめこさんのまるちゃんが大好きです！お誕生日おめでとうございました^ ^ (2022年11月26日 10時) (レス) @page35 id: 2ce83629e3 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - まいさん» 楽しんでもらえたなら良かったです！また読んで頂きありがとうございます！ (2021年3月15日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - バレンタインから1ヶ月楽しみに待ってました！ホワイトデーも｢キュン｣をありがとうございます。 (2021年3月15日 3時) (レス) id: 289a5ec9d0 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» ありがとうございます！これから少しずつお話増やしますので、また読みにきてください！ (2021年3月14日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2021年3月14日 15時
