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いや、本当にそうだろうか？もし事故に遭っていたら？事件に巻き込まれていたら？
心配が不安となり、不安が恐怖となっていく。
俺はテーブルの補聴器を引っ掴みズボンのポケットへ突っ込むと、足がもつれる勢いで家を飛び出した。
＊＊＊
「おった･･････」
雨の中を散々捜し回り、ようやく彼女を見つけた時には、もう日付を跨いでいた。
キノコの形を模した屋根付きのベンチに、彼女は膝を抱えてちょこんと座っている。
キノコのカサ部分がちょうど屋根になっており、ここで雨宿りをしていたようだ。
よく見れば、ご丁寧にも履いていた靴を揃えて地面に置いている。
そしてふと、昔の記憶を思い出した。
まだ彼女と結婚する前にも、こうして公園で偶然見かけた事があった。
その時は確か靴擦れを起こしていて、彼女の踵に絆創膏を貼ってやったのだ。
シンデレラの物語のようにヒールまで履かせたのを、今でも鮮明に覚えている。
「今日は不思議の国のアリスやな───」
そして、安堵の深い溜息が漏れた。
やっと息が吸えたような気がする。
「───もう12時過ぎたで？」
彼女の目の前まで歩み寄り、そう静かに声を掛ける。
すると、彼女がゆっくりと顔を上げた。
その目は少し眠たそうで、トロンとしている。
「寒くない？」
最近はだいぶ暖かくなってきたが、夜や朝方はまだまだ冷える。
俺は羽織っていた上着を脱ぐと、それを彼女の肩に掛けた。
「傘ないんなら、なんで連絡せえへんかったん？」
そう問いかけながら、広げたままの傘を肩に引っ掛けて、彼女と視線を合わせるようにしゃがむ。
彼女が座る両脇に手を付けば、更に小さく体を縮こませていた。
そして、ようやく彼女が口を開く。
『別に、もういい大人なんだから、これくらい大丈夫です』
その声は、この雨音に掻き消されてしまいそうな程小さかった。
そして、想像通りの回答に苦笑が滲む。
「大丈夫なんて確証はどこにもないやろ？」
まるで子供にでも言い聞かせるような口調で言うと、俺はズボンのポケットに入れていた補聴器を彼女の片耳へはめ込んだ。
『───ごめんなさい』
家を飛び出す前の威勢は何処へ行ったのやら、覇気のない声で彼女がそう呟いた。
『隆平さんのせいだなんて、思ってないです。耳の事も、仕事を辞めた事も･･･』
そして、続いて紡がれたその言葉に、俺は黙って彼女の顔を真っ直ぐと見つめ返す。
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めめこ(プロフ) - 楓さん» そう言って頂けると嬉しいです！読んで頂きありがとうございました！ (2022年11月26日 19時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - めめこさんのまるちゃんが大好きです！お誕生日おめでとうございました^ ^ (2022年11月26日 10時) (レス) @page35 id: 2ce83629e3 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - まいさん» 楽しんでもらえたなら良かったです！また読んで頂きありがとうございます！ (2021年3月15日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - バレンタインから1ヶ月楽しみに待ってました！ホワイトデーも｢キュン｣をありがとうございます。 (2021年3月15日 3時) (レス) id: 289a5ec9d0 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» ありがとうございます！これから少しずつお話増やしますので、また読みにきてください！ (2021年3月14日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2021年3月14日 15時
