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いったい彼女に何を言えば良いのだろうか。
俺のこの気持ちはどう伝えたら良いのか。
交際0日婚とよくイジられたりするが、恋人の期間がなかった上に、こんな言い合いの喧嘩をした事がないから、こういう時の二人の対処法を知らない。
仲直りの合図やサインみたいなのを作っておくと良いとアドバイスを受けた事もあったが、そもそも喧嘩がなかったからサインを作ろうと思う機会すらなかった。
「アカンわ─── 一晩だけ誰かん家に泊めてもらおう･･･」
俺は着替やら充電器やらを適当に引ったくりバッグの中へ詰め込むと、そそくさと玄関へ向かった。
そして、シューズボックスからスニーカーを取出したところで、背後から肩を掴まれる。
「Aちゃん･･･」
『出てくんですか？』
「いや、まあ、あの･･････一晩だけメンバーの家とかに泊まろうかなって」
『気まずいからですか？』
彼女から向けられる真っ直ぐな視線に、俺は目も合わせられず、ひとつ頷く事しかできなかった。
『だったら、私が出てきます』
「･･････は？」
『ここの家賃を払ってるのは隆平さんですから、ここに居る権利があります。だから、私が出てきます』
「ちょっと待ってや、何訳わからん事───」
しかし、彼女はこちらの制止を払いのけると、代わりに俺からスニーカーを奪い取り、シューズボックスに再びしまい込んだ。
そしてさっさと自分の靴を履くと、呼び止める隙も与えない程の勢いで玄関のドアを開け、そのまま出ていってしまった。
「え、ちょっとAちゃ･･･！」
ガチャ───。
ところが、再びドアが開くと、今しがた出ていったばかりの彼女が顔を覗かせた。
その表情こそいまだ険しかったが、俺は内心で僅かに胸を撫で下ろす。
しかし、それも束の間。
彼女は左手の薬指を掴んでグリグリと捻る動作をすると、何かをこちらに投げつけてきた。
俺の胸に当たった"それ"は、跳ね返って床に落ちると、キーン･･･と高い音を鳴らして廊下を転がっていく。
そして同時にドアが閉まる音がし、振り向いた時にはもう彼女の姿はなかった。
「はぁ〜･･･」
深い溜息が出る。
「なんやねん、権利って･･････」
床に落ちた彼女の指輪を拾い上げると同時に、視界が涙で霞んだ───。
もともと彼女は、僕等のレコード会社の社員だった。
仕事もできて、聡明で強くて何事にも一生懸命な、凛とした女性だった。
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めめこ(プロフ) - 楓さん» そう言って頂けると嬉しいです！読んで頂きありがとうございました！ (2022年11月26日 19時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - めめこさんのまるちゃんが大好きです！お誕生日おめでとうございました^ ^ (2022年11月26日 10時) (レス) @page35 id: 2ce83629e3 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - まいさん» 楽しんでもらえたなら良かったです！また読んで頂きありがとうございます！ (2021年3月15日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - バレンタインから1ヶ月楽しみに待ってました！ホワイトデーも｢キュン｣をありがとうございます。 (2021年3月15日 3時) (レス) id: 289a5ec9d0 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» ありがとうございます！これから少しずつお話増やしますので、また読みにきてください！ (2021年3月14日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2021年3月14日 15時
