検索窓
今日:12 hit、昨日:1 hit、合計:28,903 hit

. ページ20

「もう、敵わへんな───俺の奥さんには」

コツン、と互いの額が合わせられる。

『私達のクリスマスは、もう少し後にやりましょう。それに実を言うと、まだプレゼント買ってなくて・・・・・・その分、猶予ができて良かったです!』

「フフ、せやね。プレゼント期待しとくわ」

至近距離で見つめ合うと、どちらからともなく微笑み合う。

「よし!じゃあ、お待ちかねのアイスタイムにしますか」

心の引っ掛かりが取れたのか、目の前の笑顔は先程よりもずっとスッキリしていた。








それから、アイスを持ってソファへ移動すれば、「あ〜ん」と口を開けた彼が待っていた。

随分と大きな雛鳥だと苦笑しつつ、私は彼の前にアイスを差し出す。

そしてそれを一口噛じると、その冷たさに眉間に皺を寄せていた。

「ん〜、うんま!アイス食べたん久しぶりやわ」

彼の反応を見届けてから、ようやく私もアイスにありつく。

『至福・・・』

滑らかで濃厚なバニラの味が、口の中でゆっくりと溶けていく。

鼻から抜けていく甘い香りに、一気に幸福感が高まった。

しかし、一口、また一口と噛じっていくうちに、棒アイスを選んだ事を少し後悔した。

段々と溶けてきたアイスが、持ち手を伝って私の手に垂れてくるのである。

挙句、彼が片側ばかり食べ進めるせいで、アイスが今にも棒から落ちてしまいそうだった。

『隆平さん、片側ばっかり食べないでください』

「それより、はよ食べな溶けて落ちるで」

誰のせいで落ちそうになっているんだ。

彼の意地悪な笑みに、わざとこんな変な食べ方をしたのだろうと、遅れながら気が付いた。

そして、慌てて最後の一口を頬張った所で、にんまりと口元に弧を描いた彼と目があった。

どこか熱っぽい視線に絡め取られ、筋張った彼の手が、サラリと私の髪をすいてく。

どうしてか視線を逸らせなくて、ゆっくりと近づいた彼の唇に、そのままあっさりと塞がれてしまった。

いつの間にか後頭部に手を回され、口元に残るバニラの香りを追うように、何度も口付けられる。

逃げ場のないキスの快感に、私の意識は段々と朦朧としていった。

そして、最後にリップ音を残して、ゆっくりと互いの唇が離れていくと、思わず吐息が漏れる。

「フフ、かわええな・・・」

それを彼がクスクスと笑い、また顔を寄せてくるものだから、私は慌ててその口元を手で押し返した。

.→←.



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (82 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
188人がお気に入り
設定タグ:丸山隆平 , 関ジャニ , 甘々   
作品ジャンル:恋愛
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

めめこ(プロフ) - 楓さん» そう言って頂けると嬉しいです!読んで頂きありがとうございました! (2022年11月26日 19時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - めめこさんのまるちゃんが大好きです!お誕生日おめでとうございました^ ^ (2022年11月26日 10時) (レス) @page35 id: 2ce83629e3 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - まいさん» 楽しんでもらえたなら良かったです!また読んで頂きありがとうございます! (2021年3月15日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - バレンタインから1ヶ月楽しみに待ってました!ホワイトデーも「キュン」をありがとうございます。 (2021年3月15日 3時) (レス) id: 289a5ec9d0 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» ありがとうございます!これから少しずつお話増やしますので、また読みにきてください! (2021年3月14日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:めめこ | 作成日時:2021年3月14日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。