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『すぐにコンビニで買ってきます！』
「んあー、ええよええよ！このままで！」
そう言い急いで立ち上がる彼女を、俺はすぐさま引き止めた。
『でも･･･』
「ええから」
まだ少し納得のいっていない彼女を、強引にこの場へ留めると、再び座るよう促す。
そして暫く迷った素振りを見せてから、彼女が再び俺の隣にしゃがんだ。
その行動の一つ一つが、今の俺にはとてもいじらしく感じられて、自然と口角が上がってしまう。
「───ええねん、別に。このままがいい」
少し物足りない状態の、このままのケーキの方が、何だか彼女の思いや頑張りが沢山詰まっているような気がして、俺には嬉しかった。
「それに、このままかぶり付いた方が、なんか贅沢な感じせぇへん？」
『ふふ、まあ確かに。お行儀は悪いですけどね』
「たまにはええやん、そういうのんも」
少し勿体ない気もしたが、俺は刺してもらったばかりのロウソクを引き抜くと、台座ごとケーキを持ち上げた。
「いただきます！」
そしてケーキの端から大口でかぶり付く。
フワフワのスポンジと、クリームの甘い香り。そのすぐ後には、甘酸っぱいフルーツの味が口いっぱいに広がった。
「んんー！美味ひい〜！」
『ふふ、口の周りがすごい事になってますけど』
「じゃあAちゃんが拭いて？」
『嫌ですよ。自分で拭いてください』
「さすが、安定の塩対応やな」
渡されたポケットティッシュは、冬の外気にさらされて少しひんやりとしていた。
それで口周りを拭うと、想像していたよりもクリームが付いていた。
そして、じっとこちらに向けられている彼女の視線と、己の視線とがかち合った。
たったそれだけの事にも自然と心拍数が上がり、この後の甘い展開をつい想像してしまう。
だが、俺はその思考を必死に振り払いながら、ケーキのまだ無傷な面を彼女へと向けた。
「Aちゃんも食べる？」
『じゃあ、上の苺だけ頂きます』
そう言って、彼女の手が遠慮がちにケーキへと伸びる。
しかし、俺はそれよりも早くケーキの上の苺をくすねると、そのまま彼女の口元へと持っていった。
『え？』
「はい、あーん───」
彼女の視線が分かりやすく動揺した。
苺と俺とをキョロキョロと何往復もし、僅かに瞳が潤む。
そして互いに視線は外さぬまま、苺がゆっくりと彼女の口へと入っていく。
そんな目、したらアカンて───。
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めめこ(プロフ) - 楓さん» そう言って頂けると嬉しいです！読んで頂きありがとうございました！ (2022年11月26日 19時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - めめこさんのまるちゃんが大好きです！お誕生日おめでとうございました^ ^ (2022年11月26日 10時) (レス) @page35 id: 2ce83629e3 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - まいさん» 楽しんでもらえたなら良かったです！また読んで頂きありがとうございます！ (2021年3月15日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - バレンタインから1ヶ月楽しみに待ってました！ホワイトデーも｢キュン｣をありがとうございます。 (2021年3月15日 3時) (レス) id: 289a5ec9d0 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» ありがとうございます！これから少しずつお話増やしますので、また読みにきてください！ (2021年3月14日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2021年3月14日 15時
