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苦笑を滲ませながら差し出された箱に、胸の奥がじんわりと熱くなっていく。
『すみません。急だったのでプレゼントも用意してなくて。ケーキなんて、他の現場でもいいだけ出されてるとは思いますが、良かったら･･･』
その言葉に俺は全力で首を振って、壊れ物でも触るように、そっと箱を受け取った。
「ううん、めっちゃ嬉しい･･･！ありがとう」
この寒い中、俺の事を考えながら、このケーキを買ってきてくれた事が何よりも嬉しいのだ。
別にプレゼントなんて、どうでも良かったのに。
ただ、同じ空間に一緒におってくれるだけで、俺には十分なのに。
「ありがとうな」
もう一度お礼を述べて、満面の笑みを彼女に向ければ、彼女もまた気恥ずかしそうにはにかんだ。
なんと至福の時だろうか。
なんなら、このまま彼女をもう一軒誘おうか。
そんな淡い期待と下心が、俺の中にちらつき始める。
しかし、こんなにも良い雰囲気を突然ぶった切るのが、一筋縄ではいかないこのヒトなのだと、次の瞬間に思い出した。
『じゃ、私はこれで失礼します。お疲れさまでした』
「え、え！？ちょぉ待って！？何で！？」
場の空気なんて物は全て無視し、彼女はキレの良いお辞儀をしてあっさりと踵を返したのだ。
俺は慌ててその手首を掴み、情けない声を上げながら引き止める。
彼女の訝しげな表情が、こちらを向いた。
『何でって･･･もう用は済みましたし。あ、カラオケのお金は後日マネージャーさんづてにでも精算しますので、ご心配なく』
俺は、そんなたかだか数千円の事を言っているのではない。
というか、端から彼女に支払わせるつもりなど微塵もない。それどころか、ほぼあの場に居なかったのだから、支払う義務すらないだろうに。
「いやいや、そういう事とちゃうくて･･･！」
『じゃあ、まだ何か？』
溜息混じりに返事をされ、つい手首を掴む力が弱くなる。
しかし、いつものようには引き下がれなかった。
真っ直ぐと彼女の目を見つめ、深く息を吸ってから言葉を紡ぐ。
「───まだ、一緒におりたいから」
『･･････え？』
ポカンと呆けたような表情を浮かべた彼女に、途端にこちらまで恥ずかしくなる。
大きく鳴り出した心臓に合わせ、指先まで痺れるような感覚がした。
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めめこ(プロフ) - 楓さん» そう言って頂けると嬉しいです！読んで頂きありがとうございました！ (2022年11月26日 19時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
楓(プロフ) - めめこさんのまるちゃんが大好きです！お誕生日おめでとうございました^ ^ (2022年11月26日 10時) (レス) @page35 id: 2ce83629e3 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - まいさん» 楽しんでもらえたなら良かったです！また読んで頂きありがとうございます！ (2021年3月15日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - バレンタインから1ヶ月楽しみに待ってました！ホワイトデーも｢キュン｣をありがとうございます。 (2021年3月15日 3時) (レス) id: 289a5ec9d0 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - みーこさん» ありがとうございます！これから少しずつお話増やしますので、また読みにきてください！ (2021年3月14日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2021年3月14日 15時
