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『私は───』
息を吸うと、冬の冷たい空気で肺がいっぱいになった。
『私は、こうして隆平さんと出掛けられて、すごく楽しいです。こうして外に連れ出してくれて、すごく嬉しいんです』
｢Aちゃん･･･｣
彼の潤んだ瞳が、こちらへ向けられる。
『私、隆平さんが思ってるほど柔じゃないんです』
そう言って笑って見せれば、彼も失笑するように笑って何度も頷く。
｢うん、せやんな。そういえばAちゃんはそういう子やったわ。いつもひとりで頑張ってて、自立してて、すごく強がりで、だからこそ目が離せなくて────俺が守ってあげたくなる｣
優しい、けれど意志の強い瞳に、一瞬で私はとらわれた。
｢なぁAちゃん───｣
すると、おもむろに彼が目の前に ひざまずいて、私の左手を取った。
そしてコートのポケットからシルバーのリングを取り出すと、そのまま私の薬指にはめる。
私の手元で、結婚指輪ともうひとつの指輪とが競うように煌めいていた。
『え？あ、あの･･･！』
しかしその一方で、私は訳がわからずに狼狽えた反応をしてしまう。
もうとっくに結婚指輪はもらっているのに、どうしてまた一つ？
すると、その疑問が相手にも伝わったのか、彼はニコリと笑って、私の手を両手でそっと包み込んだ。
｢この指輪は、来世のぶん｣
『ら、来世･･･？』
｢うん。来世でも、またAちゃんと出逢って、好き同士になって、ずっと俺に守らせて欲しいねん｣
『っ･･･！？』
顔から火が出そうになり、私はとっさに顔を背けた。
こういう事をさらりと言ってしまう辺りに、彼のハートの強さを感じる。
おまけに、いつの間に用意したのか、こんな立派な指輪まで･･････。
｢･･････重い？｣
すると、暫く黙りこくる私の様子を見て、彼が不安な顔で覗きこんできた。
『･･･････はい』
そして、明らかにしょんぼりとした表情になる。
薄い唇がへの字に歪んで、拗ねるように尖った。
『───でも、隆平さんの今の言葉を聞いて、また来世でも廻り逢いたいなって思いました。ありがとうございます。』
すると、私がそう告げた途端に、彼の目がキラキラと輝き出す。
そして、｢へへ｣と可愛らしく笑った。
｢もちろん今も幸せにするけどさ、来世はもっともっと幸せにしてあげたいねんな。今の仕事は、中々一緒にいてあげられへんからさ｣
そして、突然のそんな言葉に私はキョトンとした。
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めめこ(プロフ) - こおあさん» ありがとうございます。とっても嬉しいです！頑張って更新したいと思います！ (2021年12月4日 22時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
こおあ(プロフ) - いつも素敵に拝見しています！私もこんな甘いリアルな橙さんが書けるようになりたいなあと思ってます！これからも応援してます！ (2021年12月4日 17時) (レス) id: 27440602aa (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - まいさん» 読んで頂きありがとうございます！コメントを励みに頑張ります！ (2021年3月12日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - バレンタイン最高でした！ホワイトデー楽しみにしてます!! (2021年3月11日 11時) (レス) id: 289a5ec9d0 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» ありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいですm(_ _)m いつかヒロインの誕生日話も書けたらいいなと思っています！ (2019年11月27日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年7月2日 23時
