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｢･･････アカンよ、そんな事言うたら｣
『･･･すみません』
そして、彼のお咎めの言葉に深く反省する。
『そうですよね。せっかく隆平さんも私の治療に協力してもらってるし、色々と助けてもらってるのに･･････やっぱり言うべきじゃなかったですよね』
｢そうやなくて｣
信号が青に変わった。
けれど彼が歩き出す事はなくて、苦しそうに下唇を噛むその横顔を、私はただ黙って見つめた。
そして、繋いだ手がきつく握られるのと同時に、彼が口を開く。
｢Aちゃんの耳の事は、全部俺が悪いって思ってたから･･･。それなのに、こうして俺を選んでくれて、今も隣におってくれて、笑いかけてくれて、Aちゃんには感謝してもしきれへん。本当なら、もっと怒られて責められて、恨まれても仕方ないと思ってたから。だから───今みたいな事言われたら、俺、どうしたらええかわからんくなる｣
『隆平さん･･････』
やっとこちらを向いた彼の表情は、あまりに弱々しくて可哀想で、守ってあげたくなった。
そして、一年近くもそんな気持ちを胸に抱きながら、ずっと私の隣で何でもないように笑ってくれていたのかと思うと、心が引きちぎれそうなくらい痛くなる。
私は彼と繋いだ手を強く握り返すと、空いている方の手を伸ばし、その頭をクシャリと撫でた。
汗で湿った少し癖のある髪が、指の間をするりと抜ける。
｢あ、の･･･Aちゃん･･･？｣
おどおどとした彼の潤んだ瞳が、こちらを向いた。
『大丈夫です』
｢え？｣
『この耳の事も全部含めて、隆平さんとの今があると思ったら、何も辛くないんです。確かに大変だけど、辛くなんかない。だから、そんなふうに自分を責めなくて大丈夫です』
安心させるように微笑めば、彼も静かに微笑んで頷いた。
｢うん、ありがとう｣
良かった。笑ってくれて。
『あ、でも、私の事せっかく気にかけてくれてるなら、何個かいいですか？』
そして、先程の彼の言葉を真似てそう言うと、彼がわずかに首を傾げる。
私は少し恥ずかしかったが、その目を真っ直ぐと見据えると、口を開いた。
『───これからも、変わらず私のそばにいてほしいです』
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めめこ(プロフ) - こおあさん» ありがとうございます。とっても嬉しいです！頑張って更新したいと思います！ (2021年12月4日 22時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
こおあ(プロフ) - いつも素敵に拝見しています！私もこんな甘いリアルな橙さんが書けるようになりたいなあと思ってます！これからも応援してます！ (2021年12月4日 17時) (レス) id: 27440602aa (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - まいさん» 読んで頂きありがとうございます！コメントを励みに頑張ります！ (2021年3月12日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
まい(プロフ) - バレンタイン最高でした！ホワイトデー楽しみにしてます!! (2021年3月11日 11時) (レス) id: 289a5ec9d0 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» ありがとうございます！そう言って頂けてとても嬉しいですm(_ _)m いつかヒロインの誕生日話も書けたらいいなと思っています！ (2019年11月27日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年7月2日 23時
