◆10(丸山side) ページ10
すばる君が去ってしまう事も、君の恋人になれない事も、俺がどんなに喚いて抗おうとしても、現実は残酷に別の道を進んでいく。
それでも───。
｢二人を繋いでたのはガラスの靴やなくて、運命の赤い糸やったとしたら？｣
───見えないものを信じるのは自由だ。
『運命の赤い糸･･･？』
｢うん。もし、シンデレラよりも先にガラスの靴を履ける人が現れたとしても、あるいはガラスの靴自体が消えてしまったとしても、きっと二人はまたどこかで出会って、結ばれてたかもしらんやん？｣
何度道を誤っても、何度進む足を止めてしまっても、必ず出会い結ばれる。
ただそれだけを信じて、進むしかない時もあるんじゃないだろうか。
『丸山さん･･････夢ありますね。おじさんなのに』
｢おじさんは余計や。でも、アイドルが夢捨てたら終わりやからな｣
そして彼女らしい少し皮肉な物言いに、俺がムッと口を尖らせると、わずかにだが彼女の口角が上がった。
『ふふ、そうですね』
元気いっぱいとまではいかないが、少しでも笑ってくれた事に安心する。
『───舞台の稽古、順調ですか？』
すると、彼女から別の話題を切り出してきた。
俺は無意識にクルクルにパーマをかけた髪を触って、笑みを浮かべる。
｢おん、順調やで。毎日楽しいし！｣
『そうですか。それは良かったです』
｢うん！｣
一瞬だが、彼女に心を見透かされたような気がした。
でも、自分の心の疲弊を彼女に覚られたくなくて、さっきよりもテンションを上げて話す。
そして、どうにか話の主導権を握りたくて、今度は俺が質問を投げた。
｢Aちゃんは、今回いつ来るん？｣
しかし、彼女は首を横に振って苦い笑みを浮かべた。
『全部はずれちゃいました』
｢あ、そうなんや･･･｣
てっきり、彼女は毎回観に来てくれるものなんだと、勝手に思い込んでいた。
確かに、ドームと比べたら新大久保の劇場のキャパなんて微々たるものだから、応募してもはずれる事の方が多いだろう。
まして、ファンクラブから正統的にやっているようでは、なおさらだ。
｢日にちは選べへんかもやけど、どっかで関係者席空けようか？｣
だから、こんな時くらいは特別扱いをしてあげたくて、俺はそんな提案を申し出た。
でも、きっと彼女は断ってしまうだろうけれど。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 353人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
まるまゆ(プロフ) - 面白すぎます！リアルすぎて見入ってしまってます！ (2019年6月27日 4時) (
レス) id: cd50c0de6b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» 残念ですが終わります！(笑) ここまで読んでいただいてありがとうございますm(_ _)m 短編等も考えてますので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2019年6月19日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
colorfulcrayon2(プロフ) - めめこさん！終わってほしくないよーーーー！！！笑 (2019年6月19日 19時) (レス) id: bd237a513f (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - きゃらめるさん» 感想ありがとうございます！リアルな丸山さんを書けているようで安心しました(笑) これからも作品を楽しんでいただければ幸いです！ (2019年6月13日 13時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！こちらこそ素敵な感想をもらえて嬉しいです！！これからもこちらの作品を宜しくお願いしますm(_ _)m (2019年6月13日 13時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：めめこ | 作成日時：2019年6月6日 21時
