◆43(丸山side) ページ43
するとその様子を見て、ヤスは更に続ける。
｢体が元気ないん？それとも心の方？｣
｢心･･･？｣
｢おん。元気って、体の事だけとちゃうやん？心が沈んでてもアカンし、体が悪くてもアカン｣
まさか、万全じゃないヤスからこんな事を言われるとは･･･。
俺もよっぽど酷い顔をしていたのだろう。
苦笑を浮かべ、俺は小さく頷いた。
｢んー、ヤスの言う通り心が元気ないんかもな｣
｢───Aちゃんか｣
｢･･････何でわかるん｣
アホの安田と弄られる割に、人の些細な変化には敏感だから驚きだ。
するとヤスも苦笑を浮かべて、鏡越しに視線を合わせてきた。
｢マルの心を掻き乱せる人なんて、あの子くらいしかおらんやろ｣
その言葉に、妙に納得してしまった。
いつだって、俺の心は彼女次第だった。
その笑みを向けられるだけでバカみたいに心が躍り、逆に冷たくされれば、まるでこの世の終わりのように沈み込む。
本当、笑えるくらいに俺の世界は、彼女で構成されているんだ。
｢ヤス、俺さ───Aちゃんの事捕まえておかれへんかったよ･･･｣
｢え？｣
｢Aちゃんの様子が変やったのも、全部俺が悪かってん。あの子の事、苦しめてもうてた･･･｣
思い出すだけで、呼吸ができないくらい胸が苦しくなる。
｢マル───｣
｢───すみません、丸山さん。少し別室に来ていただけますか｣
すると、スタジオ内に田中マネの緊迫した声が響き渡った。
これには他のメンバーも、いつもとは違う不穏な空気を察し、一様に黙ったまま目配せをする。
途端に嫌な予感がして、じんわりと手のひらに冷たい汗が滲んできた。
隣のヤスも、不安げに固い表情でこちらを見上げていた。
｢ちょっと、行ってくるわ･･･｣
俺はそう言い残し、先に部屋を出ていった田中マネを追って、スタジオを出ていった。
Aちゃん･･･───。
何故だか、今すぐ彼女に会いに行かなければいけないような、そんな衝動にかられた。
今すぐにその手を掴んで、どこにも行かないように、俺の腕の中に閉じ込めておきたい、と───。
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まるまゆ(プロフ) - 面白すぎます！リアルすぎて見入ってしまってます！ (2019年6月27日 4時) (
レス) id: cd50c0de6b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» 残念ですが終わります！(笑) ここまで読んでいただいてありがとうございますm(_ _)m 短編等も考えてますので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2019年6月19日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
colorfulcrayon2(プロフ) - めめこさん！終わってほしくないよーーーー！！！笑 (2019年6月19日 19時) (レス) id: bd237a513f (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - きゃらめるさん» 感想ありがとうございます！リアルな丸山さんを書けているようで安心しました(笑) これからも作品を楽しんでいただければ幸いです！ (2019年6月13日 13時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！こちらこそ素敵な感想をもらえて嬉しいです！！これからもこちらの作品を宜しくお願いしますm(_ _)m (2019年6月13日 13時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年6月6日 21時
