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｢ちょうど挨拶に来ててん。お世話んなりました｣
『あ、いえ。こちらこそ、ありがとうございました』
ペコリと頭を下げた渋谷に、私もお辞儀を返した。
渋谷が出演する番組は、もう殆どが収録を終えてきていて、いよいよ彼が去っていくのを日々実感していく。
そして、今日こうして挨拶に来たというのが、本当に寂しくて、永遠の別れのように感じられた。
｢そんな元気ない顔すなや。よけいブスやぞ｣
そして、これが渋谷なりの気の使い方だとはわかっていても、いつもみたいに悪態をつく事も、笑い飛ばす事もできなかった。
不器用に口角を上げて、何度も頷くのがやっとだ。
それを見て渋谷もまずったと思ったのか、頭をがしがしと掻いて、伏し目がちになりながら腰に手を当てていた。
｢あの〜･･･、ちゃうな。すまん、今の冗談おもろなかったわ｣
そう言って渋谷は、ギュッとまばたきをした。
それに対し、私はすぐに首を振って否定する。
『すみません、私こそ最後にこんな気を使わせてしまって･･･』
｢･･････そんな謝るくらいやったら、変な笑顔作らんと素直に泣け。ほんで笑え｣
『はい･･････』
絞り出した声は掠れていた。
そして視界がぼやけて、涙が頬を伝っていく。
それをすぐに手の甲で払って、嗚咽を誤魔化すように深呼吸をした。
すると、渋谷の男にしては小さい手に、わしゃわしゃと雑に頭を撫でられた。
｢泣き顔もやっぱブスやな｣
『うっさい』
それは、ぶっきらぼうな手付きだったが、すごく温かかった。
そして渋谷の言葉に噛みつき返せば、ニヤリと笑う気配がした。
｢つーか、お前背ぇあんねやからヒール履くなや！俺が余計小さく見えるやろが！頭もむっちゃ撫でづらいし手ぇつるわ！｣
『自分が小さいのを人のせいにしないでください』
｢なんやねんお前｣
口ではそんな事を言いつつも、渋谷は目尻にしわを作ってくしゃりと笑っていた。
私の大好きな顔だ。
そしてその頃には、私の涙もすっかり止まって、笑顔が浮かんでいた。
｢めっちゃええ顔するやんけ｣
『ありがとうございます』
｢おし、ほんならスマホ出して？｣
『･･････え？』
｢え、やないやん。Aちゃんの番号聞かな｣
突然すぎる話の展開に、私は呆けてしまった。
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まるまゆ(プロフ) - 面白すぎます！リアルすぎて見入ってしまってます！ (2019年6月27日 4時) (
レス) id: cd50c0de6b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» 残念ですが終わります！(笑) ここまで読んでいただいてありがとうございますm(_ _)m 短編等も考えてますので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2019年6月19日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
colorfulcrayon2(プロフ) - めめこさん！終わってほしくないよーーーー！！！笑 (2019年6月19日 19時) (レス) id: bd237a513f (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - きゃらめるさん» 感想ありがとうございます！リアルな丸山さんを書けているようで安心しました(笑) これからも作品を楽しんでいただければ幸いです！ (2019年6月13日 13時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！こちらこそ素敵な感想をもらえて嬉しいです！！これからもこちらの作品を宜しくお願いしますm(_ _)m (2019年6月13日 13時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年6月6日 21時
