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その言葉に、私は何も言い返せなかった。
それは、きっと図星だったから。
ただ感情任せにこの部屋へ押し入って、まるで全てのファンの署名を集めて来ましたと言わんばかりに、自分の我が儘を言い連ねていた。
『･･････申し訳ございません』
さっきの威勢はどこへやってしまったのか、絞り出した私の声は、掠れて小さくなっていた。
｢A｣
そして、部長が溜め息混じりに私の名前を呼んだ。
｢お前、今回のアルバムとツアーの担当外れろ｣
『え･･･』
｢そんな気持ちで仕事してるようじゃ、他の人にも迷惑かかるだろ。暫くは事務作業にでも専念して、少し感情を落ち着けろ。体を休めるいい機会にもなるだろ｣
『でも！』
｢話は以上だ。戻ってすぐに仕事引き継げ｣
───何も手につかない。
時計に目をやれば、時刻は夜の9時を過ぎた頃だった。
あの後、半ば追い出されるように部長室を出ていった私は、言われた通り一通りの引き継ぎをした。
それから、急ぎじゃないからと溜めてしまっていた事務作業を始めるものの、気付けばボーッとして手が止まっている。
私、何してんだろ───。
『帰ろ･･････』
私はパソコンの電源を落とすと、足取り重く会社を出た。
会社を出た後も、ボーッとする思考回路はそのままだった。
すれ違う車のヘッドライトが眩しいとは感じるものの、だからといってその先や別の事を考えるでもなく、ただ無心に足を進めていた。
私、どこに向かってるんだっけ？今どこを歩いてるんだろう？
すると、鼻先にぽつりと冷たい雫が落ちてきた。
上を見上げれば、針のように雨が次々と降ってくる。
そういえば、夜から本降りの雨になると、今朝の天気予報で言っていた気がする。
そして私は、ようやくそこで手元の物足りなさに気が付いた。
『傘、会社に置いて来ちゃった･･････』
空っぽの手のひらには、冷たい雨粒だけが落ちてくる。
それから、雨はあっという間に強さを増して、私の体をびっしょりと濡らしていった。
どこかで雨宿りしようか。それとも、コンビニで傘を買おうか。
頭ではそこまで考えるのに、私の足が全然動いてくれない。
もう、歩けない───。
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まるまゆ(プロフ) - 面白すぎます！リアルすぎて見入ってしまってます！ (2019年6月27日 4時) (
レス) id: cd50c0de6b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» 残念ですが終わります！(笑) ここまで読んでいただいてありがとうございますm(_ _)m 短編等も考えてますので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2019年6月19日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
colorfulcrayon2(プロフ) - めめこさん！終わってほしくないよーーーー！！！笑 (2019年6月19日 19時) (レス) id: bd237a513f (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - きゃらめるさん» 感想ありがとうございます！リアルな丸山さんを書けているようで安心しました(笑) これからも作品を楽しんでいただければ幸いです！ (2019年6月13日 13時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！こちらこそ素敵な感想をもらえて嬉しいです！！これからもこちらの作品を宜しくお願いしますm(_ _)m (2019年6月13日 13時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年6月6日 21時
