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私は断ろうと口を開いたが、それよりも先に安田が声を発した。
(───ごめん。今だけは、俺のワガママ聞いてほしい･･･)
泣いてる･･････？
そう勘ぐってしまったのは、安田の声が微かに震えていたから。
いつもの明るい彼とは様子が違い、今は何かに怯えているような、そんな感じがした。
『･･････じゃあ、下に着いたら教えてください』
(うん、ありがとお)
そこで、私は安田との通話を切った。
───今回は例外だ。仕方ない。
別にいらない言い訳を心の中で何度もして、頭の片隅に浮かぶ丸山の顔を追い払う。
あの人の彼女でも何でもないくせに、随分と図々しい罪悪感だ。
もぞもぞとベッドから出ると、真冬の冷たい空気に体が震えた。
＊＊＊
あれから30分程して、安田から着いたとの連絡が入った。
私はコートを羽織り、マフラーで顔の半分までをぐるぐる巻きにすると、寒さに身を縮こませながらアパートの階段を降りていった。
途中で下を覗けば、ゴツめのダウンジャケットを着た小柄な男が立っていた。
そして男は顔を上げると、私の姿を見つけた途端に、ニコリと満面の笑みを浮かべる。
『すみません安田さん。すぐに降ります』
私は安田にそう声を掛けると、階段を静かに駆け降りた。
｢───急にごめんなぁ？ありがとう｣
『今回だけですよ』
安田の様子はいたって普通そうだった。
和やかな空気をまとい、人好きのする笑みを浮かべている。
『小さいですけど、近所に神社があるのでそこに行きませんか？』
｢え！神社あるん！？行きたい行きたい！｣
そう提案すれば、安田は嬉しそうに首を縦に振った。
『じゃあ行きましょうか』
少しずつ空が白んできて、街が朝を迎えようとしている中を、私達は肩を並べて歩きだした。
石段を上がり、一礼をして鳥居をくぐる。
少し息が上がって、口で呼吸をすれば、冬の透き通った空気が白く霞んだ。
そしてくるりと振り返ると、朝焼けに染まる街並みが広がっていて、とても綺麗だった。
高台にあるわけじゃないから、見渡すとまではいかないが、近くにこんな風景があった事に少し感動した。
｢見て。もうすぐ日が昇りそう｣
すると、少しも息を切らしていない安田が、手水舎の向こうを指差した。
確かに、地平線が真っ赤に染まり、その中心が白く強い光を放っていた。
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まるまゆ(プロフ) - 面白すぎます！リアルすぎて見入ってしまってます！ (2019年6月27日 4時) (
レス) id: cd50c0de6b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» 残念ですが終わります！(笑) ここまで読んでいただいてありがとうございますm(_ _)m 短編等も考えてますので、引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです！ (2019年6月19日 20時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
colorfulcrayon2(プロフ) - めめこさん！終わってほしくないよーーーー！！！笑 (2019年6月19日 19時) (レス) id: bd237a513f (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - きゃらめるさん» 感想ありがとうございます！リアルな丸山さんを書けているようで安心しました(笑) これからも作品を楽しんでいただければ幸いです！ (2019年6月13日 13時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！こちらこそ素敵な感想をもらえて嬉しいです！！これからもこちらの作品を宜しくお願いしますm(_ _)m (2019年6月13日 13時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年6月6日 21時
