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｢Aちゃんさぁ、今の仕事辞めたいって思った事ある？｣
『え？』
その突拍子もない質問に、私は思わず渋谷の顔を見返した。
｢正直、体力的にもけっこうキツいやろ？忙しそうやし、神経も使うやろうし、少なくとも毎月こんなとこで球叩きのめす位にはストレス溜まるみたいやしな───｣
渋谷の野良猫みたいな目が、真っ直ぐと私をとらえた。
｢───何で？何で続けられるん？｣
何でって、そんなの考えた事もなかった。
シングルやアルバムの発売に向けて慌ただしく動いて、ライブの準備をして、DVDの特典映像の内容を吟味して、そうやって気付けば1年が経っている。
そしてまた、その繰り返し。
確かに大変だけど、それを辛いと思った事は一度もない。
ずっとあの会社にいるのだと、何の疑問を抱く事なく過ごしてきた。
でも、きっとそれは───。
『好きだから』
結局突き詰めれば、理由はそれしかなかった。
『今の仕事が好きだから、そんなの考えた事ないんです。私、本当にこのグループが大好きだから、例え残業しても怒られても深夜の雑用に駆り出されても、それが全部関ジャニ∞とその先のファンに繋がると思ったら、何も辛くないんです』
そして私も渋谷を見つめ返せば、彼の口元が歪み不器用な笑みが浮かぶ。
『多分、この仕事に生き甲斐を感じてるのかもしれないですね』
｢すまん、野暮な事聞いたわ｣
『フフ、愚問でした』
そう嫌味を交えて返すと、｢うっさいわ｣と渋谷がツッコミを入れ、その目尻にシワを作って笑う。
私の好きな、渋谷の笑顔だった。
｢───めっちゃ、ええ女んなったな｣
すると、ベンチの背もたれに肘を置いて、脚を組んだ渋谷が言った。
『メスゴリラでもですか？』
｢おう、メスゴリラん中で1番や｣
『全然嬉しくないんですけど』
そう文句を垂れると、渋谷が声を上げて笑った。
そして、ふと静かになると、どこか寂しそうに目を伏せる。
その横顔に、私は何故だか胸騒ぎを覚えた。
強いて言うなら、女の勘というやつだろうか。
良からぬ事が起きそうな、ザワザワとした感じが胸を掻き立てる。
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めめこ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編作成中ですので少しお待ちください！ (2019年6月6日 12時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 本当におもしろいです！早く続き見たいです！ (2019年6月5日 23時) (レス) id: 9dc5982e37 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！ヤキモチを通り越すくらいゆんゆさんにドキドキしてもらえるような作品にしたいと思います(笑)これからもよろしくお願いします！ (2019年5月26日 21時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆ(プロフ) - いつも更新を楽しみにしています。まるたーの私なので、上手くいって欲しいと思う反面、感情がリアルに伝わるってくるので、上手くいったらヤキモチ妬きそうで今から心構えを、なんて思ってしまいます(笑)これからも楽しみにしています！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: e91edee03b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» ご感想ありがとうございます！プロだなんて嬉しすぎます(><)更新頑張ります！！ (2019年5月23日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年5月3日 15時
