◇35(丸山side) ページ35
俺は彼女の鎖骨の辺りを、指先でトントンとやった。
｢これ何？｣
そして『ん？』と下を向いた瞬間に、その鼻先をピンッと人差し指で軽く弾く。
すると、目を真ん丸にさせた彼女が、俺の顔を見上げた。
彼女のあまりに純粋過ぎる反応に、俺は可笑しくなってつい声を上げて笑ってしまった。
『な、何するんですか！もう･･･！』
｢ごめんごめん、反応がおもろかったから｣
『人で遊ばないでください！』
｢ごめんて〜｣
そう謝るものの、彼女はフンとそっぽを向いてしまった。
年下の割に大人びているかと思いきや、突然少女のような表情を見せる。
だが、俺はすっかりそのギャップの虜になってしまっているようだ。
｢そんな怒らんと、こっち向いて？｣
小さな子供にやるみたいに、頭をぽんぽんしようと手を伸ばす。
しかし、それは素早い動きで避けられてしまった。
そして、彼女の大きな目が真っ直ぐとこちらを向く。
『今のは、私をはめた罰です』
｢意地っ張りやね･･･｣
腰に手を当て、口をへの字に結ぶ彼女の姿に、俺は苦笑を漏らした。
でも、彼女はちょっとくらい可愛いげがない方が良いかな、とも思うのだ。
｢ほんまに、そういうのは僕の前だけにしときや？｣
だって、みんながこの子を好きになってしまったら困るから。
『そもそも、こんな事してくるの、丸山さんくらいしかいませんよ』
それに、彼女のこういう所を受け止められるのも自分だけだ、という優越感に浸っていたいのだ。
これ以上ないくらい、ドロドロに甘やかしてやりたくなる。
よそ見なんてする余裕もないくらい、俺に依存させたい。
このまま、君の全てを呑み込んでしまえたら、どんなにいいだろうか───。
｢───じゃあ、これから先も俺だけにしといて？｣
『え？』
｢隙ありぃ〜！｣
『わっ！？』
一瞬の隙を突いて、彼女の頭をクシャリと撫でる。
自分から艶っぽい空気を仕掛けておきながら、それに自分自身が呑まれそうになってしまった。
｢ほな、僕はそろそろ戻らへんと。打合せ、頑張ってな？｣
『あ、はい。ありがとうございます。丸山さんも頑張ってください』
会釈する彼女に、バイバイと手を振ってスタジオに戻る。
彼女が一瞬、寂しそうな顔をしたと思ったのは、俺の自惚れだろうか。
───勘違いじゃなければいいのにな。
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めめこ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編作成中ですので少しお待ちください！ (2019年6月6日 12時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 本当におもしろいです！早く続き見たいです！ (2019年6月5日 23時) (レス) id: 9dc5982e37 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！ヤキモチを通り越すくらいゆんゆさんにドキドキしてもらえるような作品にしたいと思います(笑)これからもよろしくお願いします！ (2019年5月26日 21時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆ(プロフ) - いつも更新を楽しみにしています。まるたーの私なので、上手くいって欲しいと思う反面、感情がリアルに伝わるってくるので、上手くいったらヤキモチ妬きそうで今から心構えを、なんて思ってしまいます(笑)これからも楽しみにしています！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: e91edee03b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» ご感想ありがとうございます！プロだなんて嬉しすぎます(><)更新頑張ります！！ (2019年5月23日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年5月3日 15時
