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そして、手中の封筒を引き抜かれる。
｢───このお金、受け取ってもらわれへんのやったら、1回僕が預かってもええ？｣
『え？あ、はい。というか、お返しします』
｢よっしゃ。そしたら僕の自由に使わせてもらうわ｣
丸山はにんまりと笑みを浮かべて、私の顔の前でひらひらと封筒を揺らす。
｢このお金で、今度Aちゃんの好きなもの食べに行こう？お寿司でも焼き肉でも、今半のすき焼きでも。な？｣
そう言って首を傾げる仕草が、なんだか可愛かった。
そして同時に、次から次へとわいてくるこの人への気持ちに、罪悪感も生まれてくる。
『───じゃあ、今度。ご馳走になりますね』
｢おん！｣
楽しみにしててな？と、嬉しそうな笑顔を向ける丸山に、私も笑みを返した。
それから数秒、名残惜しいような気不味いような沈黙が流れたが、丸山は足元の紙袋を手に取ると口を開いた。
｢･･････じゃあ、そろそろ帰るわ。あんまり居座るんも悪いし｣
『そうですか。わざわざ来ていただいて、すみませんでした。気を付けて帰ってください。あ、タクシー家の前まで呼びます？』
｢ううん、大丈夫。ありがとう｣
『いえ。では、お疲れ様です』
私はペコリと頭を下げる。
そして顔を上げると、優しく頬笑む丸山と目が合った。
すると、温かい指先が私の前髪に触れ、まるで壊れ物を扱うような優しい手つきで、何度か私の髪をすいていく。
｢前髪、ちょっと伸びたね｣
『あ･･････』
｢ほな、お疲れさん〜｣
しかし、その指先は思いの外あっさりと離れていき、丸山は手を振って部屋を出ていった。
そして、パタンと閉まるドアを半ば放心状態で見つめながら、私はその場にへたり込む。
『───あの時の･･･』
自分の前髪に触れた途端、一気に全身が熱を帯びた。
あの日の、夢だと思っていた微睡みの中の記憶が、鮮明に蘇ってくる。
沖縄へ行った時。
私の額へキスをしたのは、きっと彼だ───。
『───変態め･･････！』
でも。
やっぱり好き。
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めめこ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編作成中ですので少しお待ちください！ (2019年6月6日 12時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 本当におもしろいです！早く続き見たいです！ (2019年6月5日 23時) (レス) id: 9dc5982e37 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！ヤキモチを通り越すくらいゆんゆさんにドキドキしてもらえるような作品にしたいと思います(笑)これからもよろしくお願いします！ (2019年5月26日 21時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆ(プロフ) - いつも更新を楽しみにしています。まるたーの私なので、上手くいって欲しいと思う反面、感情がリアルに伝わるってくるので、上手くいったらヤキモチ妬きそうで今から心構えを、なんて思ってしまいます(笑)これからも楽しみにしています！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: e91edee03b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» ご感想ありがとうございます！プロだなんて嬉しすぎます(><)更新頑張ります！！ (2019年5月23日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年5月3日 15時
