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乃木坂から六本木方面へとぼとぼ歩きながら、私は深い溜め息をついた。
あの時は啖呵を切るような事を言ってきたが、もしこの話が会社の上層部に行ったら、もうあの人の側にはいられなくなるかもしれない。
特に、あのマネージャーは危険だ。
『なんか、疲れた･･･』
足に鉛でも入っているのかと思うくらい、一歩を出すのがしんどい。
地下鉄の入り口までもう少しだったが、私は一度道を逸れて、桜並木の縁石のブロックに腰を掛けた。
ちょっと休憩しよう。
こんな状態で、帰宅民でぎゅうぎゅうの電車に乗り込むのは辛すぎる。
私は大きく息を吸いながら、上を仰ぎ見た。
ライトアップをされた桜越しに、ミッドタウンの高層ビルがそびえ立っている。
とは言っても、桜の花は既にほとんど散って、今は葉桜になってしまっていた。
お花見、したかったな･･････。
｢───あの、｣
すると、突然男性の声に話しかけられた。
道でも訪ねてきたのかと思いそちらを向くと、マスクをつけた背の高い男が立っている。
『･･･あれ？』
｢ふふ、やっぱりAちゃんや｣
そう言って嬉しそうにマスクを外したのは、丸山だった。
『なんで───』
こんなタイミングで会っちゃうかな･･･。
｢遠目から見えて、もしかしてそうかな〜と思ったら、やっぱりAちゃんやった｣
『ほんと、よく見つけましたね･･･』
｢だって、Aちゃんやもん｣
───思わせ振りな態度。
嫌でも、あの男の言葉が過った。
｢ここで何してるん？｣
待ち合わせ？と丸山が辺りをキョロキョロとする。
それに対し、私は首を横に振る。
『お花見です』
｢お花見･･･｣
私の返答に、丸山はポカンとした表情を浮かべて、頭上の桜を見上げた。
それもそうだろう。葉っぱだらけの桜で花見なんて、変な話だ。
｢大分葉桜やけど───でも、これはこれで乙なもんやね｣
その言葉に、私は意表突かれる。
相手の意見を一度は飲み込むあたり、丸山の優しい性格が表れていた。
｢でも、やっぱり桜は満開の時が一番やで。特に夜桜なら｣
上を向いていた丸山が、そっと私へ視線戻す。
そして、ニコリと優しく微笑んだ。
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めめこ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編作成中ですので少しお待ちください！ (2019年6月6日 12時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 本当におもしろいです！早く続き見たいです！ (2019年6月5日 23時) (レス) id: 9dc5982e37 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！ヤキモチを通り越すくらいゆんゆさんにドキドキしてもらえるような作品にしたいと思います(笑)これからもよろしくお願いします！ (2019年5月26日 21時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆ(プロフ) - いつも更新を楽しみにしています。まるたーの私なので、上手くいって欲しいと思う反面、感情がリアルに伝わるってくるので、上手くいったらヤキモチ妬きそうで今から心構えを、なんて思ってしまいます(笑)これからも楽しみにしています！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: e91edee03b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» ご感想ありがとうございます！プロだなんて嬉しすぎます(><)更新頑張ります！！ (2019年5月23日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年5月3日 15時
