◇3(丸山side) ページ3
すると、楽屋に誰かが入ってきた。
そちらへ目をやると、稽古着のヤスが立っている。そして手には紙コップを持っていた。
｢何飲んでるん？｣
｢コーン茶。寒いから、本番まで体冷えないようにしよう思って｣
そういうところ、ヤスらしいな。
思わず小さく笑ってしまった。
そしてヤスは俺の隣に座ると、ズズズとコーン茶を啜った。
｢───そういえば、今日Aちゃん来てるねんて｣
｢･･･ふーん、そうなんや｣
ヤスの口から出た彼女の名前に、少なからず反応してしまう。
｢マルは挨拶行かへんの？｣
｢んー、俺はええかな。2日目も来てたらしいし。どこの席かは見つけられへんかったけど｣
｢え、2日目来てたん？｣
｢おん。え、ヤス知らんかったん？｣
｢うん。というか、誰も知らんと思うで？｣
ヤスのその返答に、消したはずの感情がまた疼きだす。
｢───なんやもう〜、俺にも教えてくれたら良かったんに｣
そう言って唇を尖らすヤスを、俺は黙って一瞥する。
───何であの子は、俺にだけ教えてくれたん？俺はもう、嫌われてしまったはずなのに･･･。
｢･･･でも、そうは言うてもヤスは仲良さそうにしてるやん。名前で呼んでるみたいやしさ。いつから呼び方変えたん？｣
無理をして、別に聞きたくもない質問をした。
無理をして笑顔を作って、明るい声色にして、今までみたいな"丸ちゃん"を作る。
けれど、それすらも見破っているかのように、こちらを向いたヤスの表情は全てを覚っていた。
｢実はな、誕生日プレゼントやねん｣
｢プレ･･･え？｣
いや、やはりこちらの考え過ぎだろうか。
｢───ほんまは、俺の誕生日にAちゃんの描いた絵もらう約束やってんけど、間に合わへんくて。それで、代わりに名前で呼んでもええか？って事になったんよ｣
人前で呼ぶと怒られるんやけどな、とヤスは続けて苦笑を見せる。
｢そう、やったんや｣
｢おん、だからマルもプレゼント貰ったらええよ｣
｢え？｣
｢まだ貰ってへんやろ？Aちゃんから誕生日プレゼント｣
ヤスからの突然の提案に度肝を抜かれた。
確かにプレゼントは貰っていないが、俺からこんなギスギスした関係にしておいて、今さらどうやってそんな要求をしたらいいのか･･･。
しかしヤスは、頭を抱える俺をよそに、さらに続けた。
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めめこ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編作成中ですので少しお待ちください！ (2019年6月6日 12時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 本当におもしろいです！早く続き見たいです！ (2019年6月5日 23時) (レス) id: 9dc5982e37 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！ヤキモチを通り越すくらいゆんゆさんにドキドキしてもらえるような作品にしたいと思います(笑)これからもよろしくお願いします！ (2019年5月26日 21時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆ(プロフ) - いつも更新を楽しみにしています。まるたーの私なので、上手くいって欲しいと思う反面、感情がリアルに伝わるってくるので、上手くいったらヤキモチ妬きそうで今から心構えを、なんて思ってしまいます(笑)これからも楽しみにしています！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: e91edee03b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» ご感想ありがとうございます！プロだなんて嬉しすぎます(><)更新頑張ります！！ (2019年5月23日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年5月3日 15時
