◇2(丸山side) ページ2
そして車の揺れに身を任せたまま、俺はぼんやりと外の景色を眺めた。
何も感じない───。
綺麗なオレンジの夕空も、それを反射する都会のビル群も、幸せそうに笑う家族やカップルの姿も、あんなに美しいと思っていたのに、今はどれも心に響かない。
ああ、これが喪失感というものなのか───。
あんなにも、彼女越しに見る俺の世界は鮮やかに色付いていたんだ。
それを俺は、自ら捨ててしまった───。
＊＊＊
"今回の丸ちゃんマジでヤバい！以前にも増して目がちょっと冷たい(？)ときがあって超カッコよかった！！"
"エイタメ魂の丸ちゃん色気が駄々漏れてたー！ほんわか丸ちゃんも好きだけど、クールな丸ちゃんもいい！"
｢───本番の直前までエゴサすなよ｣
ベシッ･･･！
今やすっかり慣れ親しんだ衝撃が頭に走る。
その叩き方で、もはや誰か当てられそうなくらいだ。
｢村上君むやみに人の頭叩いたらアカンよー！｣
しかし、そう声をかけた時には、既に彼の姿はなかった。
今日は東京公演の最終日だ。
まだ千秋楽ではないにしても、ひとつの節目として、メンバーやスタッフの雰囲気が昨日までとは違うのを感じる。
開演まで、あと3時間を切っていた。
そして誰も居なくなった楽屋で、俺は盛大な溜め息をつく。
───あの日から、俺は本当に彼女との関わりを断ってしまった。
打ち合わせやリハーサルで顔を会わせても、挨拶以外の言葉を交わす事はおろか、近寄りもしない。
一度だけ彼女から着信があったが、それも無視して[急用ならメールをください]と偉そうなメールを送ってしまった。
その時は、彼女からPDFの添付されたメールが届いたのだが、内容はガチガチの業務連絡だった。
おまけに、添付されたファイルを開くと、新しい進行表に変更内容が赤いマジックで殴り書きされていたのだ。
普段は綺麗な字を書く人だから、その文字を見ただけでも、彼女が怒っている事は十分に伝わってきた。
そしてその日をさかいに、彼女から連絡が来る事はなくなった。
これでいいんだと、何度も自分に言い聞かせてきた。
けれど心のどこかでは、また彼女が自分に笑いかけてくれるんじゃないかと、馬鹿みたいに淡い期待を抱いてしまっているんだ。
自分から手放したくせに･･････。
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めめこ(プロフ) - りなさん» ありがとうございます！楽しく読んでいただけて嬉しいです。続編作成中ですので少しお待ちください！ (2019年6月6日 12時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
りな - 本当におもしろいです！早く続き見たいです！ (2019年6月5日 23時) (レス) id: 9dc5982e37 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - ゆんゆさん» いつも読んでいただきありがとうございます！ヤキモチを通り越すくらいゆんゆさんにドキドキしてもらえるような作品にしたいと思います(笑)これからもよろしくお願いします！ (2019年5月26日 21時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆんゆ(プロフ) - いつも更新を楽しみにしています。まるたーの私なので、上手くいって欲しいと思う反面、感情がリアルに伝わるってくるので、上手くいったらヤキモチ妬きそうで今から心構えを、なんて思ってしまいます(笑)これからも楽しみにしています！ (2019年5月26日 19時) (レス) id: e91edee03b (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - colorfulcrayon2さん» ご感想ありがとうございます！プロだなんて嬉しすぎます(><)更新頑張ります！！ (2019年5月23日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2019年5月3日 15時
