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「見てわからんかぁ？ハーバリウムやろ」
「すごいな。こんなに"ハーバリウム"って単語が似合わへん人おるんやな」
「しばくぞ」
村上君はチッと舌打ちをするも、その視線が手元から逸れる事はなく、黙々と作業を続けていく。
おそらくその花は、夏に店先のプランターで育てていた紫蘭だろう。
先日、今年の開花を終え、葉と茎だけになったプランターを名残惜しそうに裏へ下げていたAさんの姿が、記憶に新しい。
そしてその花を枯れる前に摘んで、わざわざプリザーブドフラワーを作っておくなんて、次の商売でも考えているのだろうか。
しかし、用意されたハーバリウム用のボトルは1本のみ。
販売用に作っているとは考えづらい。
しかも、わざわざ紫蘭なんて地味な･･････もとい、控え目な花なんかではなく、ピンクや赤といった派手な色の花を使った方が、うちの客層には合っている。
となれば、もう答えは決まっている。
「それ、Aさんにあげるん？」
そう言葉を投げると、村上君の手元がピタリと止まった。
やはり図星だったか。
「ん、そやで」
だが、意外にもあっさりと認めた村上君に驚き、俺はつい目を見開いてその背中を凝視してしまった。
「なんで？」
そして、気付けばそう言葉が漏れていた。
すると、村上君が手に持っていた花とハサミを一度置いて、くるりとこちらを振り向いた。
「あいつの好きな花やから。折角やし、残しといたろうと思ってな」
「それさ･･････」
好きな女にやる事やん。
「なんや？」
「いや、やっぱええわ」
俺はその先を言うのをやめた。
勝手な想像で口出しするのは下世話だし、今の3人の空気感が心地良いから、わざわざ壊すようなリスクも負いたくない。
けれど、それを脅かすような嵐がもうすぐ訪れようとは、この時の俺は知る由もなかった。
＊＊＊
"それ"がやってきたのは、空気も涼しくなり街が秋の色を濃くし始めた頃だった。
バックヤードで備品の整理をしているAさんを横目に休憩をしていると、フロアの方で扉の開く音がし、何やら男達の声で賑わい始める。
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めめこ(プロフ) - ゆきさん» 励みになるコメントありがとうございます！✨ 更新頑張りますので、これからもお話を楽しんでください😊 (4月9日 18時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - めめこさんの書くお話が、占ツクに投稿されているお話の中で一番好きです。更新楽しみに待っています。 (4月4日 19時) (レス) @page42 id: 159543e1b4 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - アッキーナさん» 読んで頂きありがとうございます！嬉しいお言葉です✨ (2月8日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
アッキーナ(プロフ) - 素敵なお話すぎて一気に読んでしまいました！この先の展開楽しみにしてます。 (1月31日 16時) (レス) id: ee5b45e1af (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - 海嵐さん» ありがとうございます！今後の展開も楽しみに読んで頂けたら嬉しいです！ (1月6日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2023年12月29日 19時
