ムラサキツユクサ ページ27
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店の前の通りを、浴衣姿の人達が通り過ぎていく。
仲睦まじいカップルや幸せそうな家族、友人同士、この先の南森町駅で待ち合わせと思しきシングルの人達───。
『いいなぁ〜･･･』
私の口から、つい無意識のうちに羨む声がもれてしまった。
そして、盛大な溜息を一つ。
夕刻になるにつれ賑わい出す外の様子とは裏腹に、店内には閑古鳥が鳴いていた。
今日は日本三大祭の1つである天神祭の最終日なのである。
祭り自体は6月の下旬頃から始まり、約1ヶ月かけて諸行事を行っているらしいのだが、一般人の私達が盛り上がるのはやはり最終日だ。
すぐ近くを流れる大川では花火も上がるし、その川沿いや天神橋筋商店街などには屋台も出る。
夏のイベントとしては外せない日だ。
青春真っ只中の大倉君も、今日は彼女とデートやから、との事で、バイトのシフトには入っていなかった。
羨ましい。
「おい、店頭におるやつがそんなふてぶてしい顔すな」
『すみません･･･』
すると、奥から水揚げ作業を終えた店長が戻ってきた。
私の不満たらたらな顔を見た途端、注意と共に背中をパシッと叩く。
しかし店長もまた、この状況と私の心中は理解しているらしく、後ろ髪をガサガサと掻くと言った。
「でもまあ、確かに今日はもう集客は望めなそうやな」
『これからお祭りの人混みに入るのに、花束持って歩く人なんてそうそういないですよねぇ』
作業台に頬杖をついて、私も店長の言葉に深く頷き返す。
すると、作業台を周って私の向いに手をついた店長が、にんまりとイタズラな笑みを浮かべた。
「A、このまま閉店まで働いて給料満額もらうんと、今から祭行って給料少し減らされんの、どっちがええ？」
『うわぁ、どっちもどっち･･･』
そこに下手な人情を持ち込まないのが、さすがは店長だ。きっちりしている。
『もし私がお祭りに行っても、店長はお店に残るんですか？』
今すぐにでも仕事を切り上げて遊びに行きたいのは山々だが、全てを店長に押し付け行くのはさすがに気が引ける。
だが、私の言葉に目の前の彼はキョトンと目をまん丸にすると、すぐに首を横に振った。
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めめこ(プロフ) - ゆきさん» 励みになるコメントありがとうございます！✨ 更新頑張りますので、これからもお話を楽しんでください😊 (4月9日 18時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - めめこさんの書くお話が、占ツクに投稿されているお話の中で一番好きです。更新楽しみに待っています。 (4月4日 19時) (レス) @page42 id: 159543e1b4 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - アッキーナさん» 読んで頂きありがとうございます！嬉しいお言葉です✨ (2月8日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
アッキーナ(プロフ) - 素敵なお話すぎて一気に読んでしまいました！この先の展開楽しみにしてます。 (1月31日 16時) (レス) id: ee5b45e1af (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - 海嵐さん» ありがとうございます！今後の展開も楽しみに読んで頂けたら嬉しいです！ (1月6日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2023年12月29日 19時
