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すると、洗い物を終えた店長が部屋に戻ってきた。
『すみません、何から何までやってもらっちゃって』
「かまへん、かまへん。この分は労働で返してもらうから」
『･･････』
冗談なんだろうが、店長が言うと本気の発言にも聞こえてしまう。
そして店長は、私が寝ているベッドの脇に腰を下ろすと、口元に薄っすらと笑みを浮かべる。
「お前ももう立派な戦力やからな。あんま休まれると、俺が困んねん」
『そう、ですか』
良いも悪いもはっきりと言う人だという事は分かっていたが、こうも面と向かって褒められると、やはり照れるものだ。
私は掛け布団を目元まで引っ張り上げて、顔を隠す。
掛け布団のひんやりとした部分が、火照った頬に触れて気持ちが良い。
しかし、それもすぐに温くなっていくと、頬の熱と同化していった。
薬が効いてきたのだろうか、段々と心地の良い眠気もやってきて、次第に瞬きの数も減っていく。
店長にお礼を言って、見送らなきゃいけないのに。
思いとは裏腹に、徐々に深くなっていく入眠の感覚に、私は抗う事ができなかった。
「───目ぇ覚めても･･･」
温かい指先が、前髪を優しく梳いていった。
───目が覚めても、忘れんといてや。
『はぅ･･･』
間抜けな声をもらしながら目を開けると、そこは見慣れた自分の部屋で、当然ながら店長の姿もなかった。
壁の掛け時計に目をやれば、朝の7時を指している。
何だか懐かしくて、それでいて悲しい夢を見ていたような気がする･･･。
体を起こせば、昨日よりもはるかに軽くて、頭もスッキリとしていた。
店長の看病の甲斐もあって、すっかり回復したようだ。
これなら今日から仕事に復帰できそうである。
店長に連絡を入れておこうと、私は枕横に置いていたスマホに手を伸ばした。
すると、手の甲にポタッと水滴が落ちる。
『え･･･なんで？』
雨漏りでもしているのかと一瞬思ったが、すぐにそれが自分の涙だという事に気が付いた。
動揺しつつも濡れている頬を拭うと、どうしてか無性に店長に会いたくなった。
ねえ店長、どうして、こんなに苦しいの･･･？
ライラック(紫)･･････恋の芽生え
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めめこ(プロフ) - ゆきさん» 励みになるコメントありがとうございます！✨ 更新頑張りますので、これからもお話を楽しんでください😊 (4月9日 18時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - めめこさんの書くお話が、占ツクに投稿されているお話の中で一番好きです。更新楽しみに待っています。 (4月4日 19時) (レス) @page42 id: 159543e1b4 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - アッキーナさん» 読んで頂きありがとうございます！嬉しいお言葉です✨ (2月8日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
アッキーナ(プロフ) - 素敵なお話すぎて一気に読んでしまいました！この先の展開楽しみにしてます。 (1月31日 16時) (レス) id: ee5b45e1af (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - 海嵐さん» ありがとうございます！今後の展開も楽しみに読んで頂けたら嬉しいです！ (1月6日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2023年12月29日 19時
