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しかし、「何を笑うてんねん」とツッコまれる事は容易に想像がつくので、表情には出さず心の中だけで留める事にした。
「ん」
すると、店長が何やら見つけたらしい。
彼の視線の先を辿ると、そこにはおどろおどろしい外観が目を引くお化け屋敷があった。
このポップでメルヘンな空間には似つかわしくないそれは、一際目立っており、ある意味で悪目立ちをしている。
「A、入口のとこよう見てみ？」
『え？』
そう言われ、私は目を凝らして店長が指差す先を見た。
『───カップル無料デー、か。へ〜、そういうのもやってるんですね』
仕事の主従関係にある私達からしたら、所詮は関係のない話だ。
しかし、私が他人事のような言葉を返すと、店長の屈託ない視線が真っ直ぐとこちらを向いた。
「え？入らへんのか？無料やぞ？」
『え、でも私達カップルじゃないですし･･･』
「そんなん黙っとったら分からんやん。どーせ男女のペアなら何でもオッケーやろ」
『まあ、そうかもしれないですけど･･･』
「無料やぞ？あのお化け屋敷、普通に入ったら1人千円やで？」
「･･････」
何度も店長の口から出てくる"無料"の言葉に、私はようやくそこで合点がいった。
この人は、お得な物が大好きなのだ。
『じゃあ、入りましょうか･･･』
「しゃーない、行くか」
「･･････」
何故だか私が我儘を言ったような展開になっていたが、そこから店長が立ち上がるまで、風のような速さだった。
それにしても、こんなに入りたがるなんて、店長はこういったホラーの類が好きなんだろうか。
そんな事を考えつつ、次々にお化け屋敷の中へ吸い込まれていく他所のカップルに紛れながら、私達も早速入口へと向かった。
すると、ふと店長が私の耳元に口を寄せて、小声で何かをのたまった。
「一応、俺らもあだ名とか下の名前で呼び合うか」
『え？何でですか？』
「アホか。カモフラージュやんか。ましてスタッフの前で店長なんて呼んだら、怪しさしかないやろ」
『な、なるほど･･･』
その真剣な表情に、店長の本気度が見えた。
『じゃあ･･････信ちゃん、とか？』
「･･･まあ、ええか」
即席で考えたあだ名がお気に召さなかったのか、店長は少しの間を置いてから一つ頷いた。
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めめこ(プロフ) - ゆきさん» 励みになるコメントありがとうございます！✨ 更新頑張りますので、これからもお話を楽しんでください😊 (4月9日 18時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - めめこさんの書くお話が、占ツクに投稿されているお話の中で一番好きです。更新楽しみに待っています。 (4月4日 19時) (レス) @page42 id: 159543e1b4 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - アッキーナさん» 読んで頂きありがとうございます！嬉しいお言葉です✨ (2月8日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
アッキーナ(プロフ) - 素敵なお話すぎて一気に読んでしまいました！この先の展開楽しみにしてます。 (1月31日 16時) (レス) id: ee5b45e1af (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - 海嵐さん» ありがとうございます！今後の展開も楽しみに読んで頂けたら嬉しいです！ (1月6日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2023年12月29日 19時
