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『───じゃあ、お先に失礼します』
「おう、お疲れさん。気ぃ付けて帰るんやで」
バックヤードでノートPCをいじる店長に挨拶をし、ペコリと頭を下げる。
閉店作業や花の手入れを終えても、店長にはまだ今日の売上管理や経理面の仕事があるようだ。
誰よりも早く店に来て、誰よりも遅くに帰る。
この人、いったいいつ寝てるんだろうか。
ふと、店長の私生活が気にかかってしまった。
しかし、今の私が手伝える事も無さそうだと判断し、申し訳なくも渋々と店を出ていく。
あの日も───店長の誕生日も、こんなような1日だったんだろうか？
『あ、』
そして、コンビニの横を通りかかった所で、私は足を止めた。
再び店の裏口の扉を開けると、そこにはまだ店長の姿があった。
「あれ？どうしたん？忘れ物か？」
そして、こちらを振り向いた店長が私の姿を見つけると、大きな目をパチクリとさせながら首を傾げる。
それに対し、私はニンマリとした笑みを携えて、店長がノートPCをいじるデスクの上に、コンビニの袋を置いた。
『お誕生日、おめでとうございました』
「･･････は？」
『今日、大倉君に聞きました。初めて会った日が店長の誕生日だったんですね』
だいぶ遅くなりましたが、と最後に言葉を付け加え、呆けた表情を浮かべる店長に、ズイと袋を寄せる。
すると店長はポリポリとこめかみを掻いて、フッと笑った。
「せやで。これ、もらってええの？」
『もちろんです』
そして店長は袋の中を覗くと、大きな目を更に大きく見開いた。
『すみません、本当はケーキが良かったんですけど、近くのコンビニに置いてなくて』
私が買ってきたのは、ケーキではなくエクレアだった。
しかし、店長のいまいちパッとしない反応に、今更ながら分が悪くなってきた。
今日が誕生日でもなければ、ケーキもプレゼントもない。
もはや、ただエクレアを差し入れただけのようになってしまっている。
『あ･･･もしかして、甘い物苦手でした？』
そして、更に湧き上がった不安を口にすれば、店長はすぐに首を横に振った。
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めめこ(プロフ) - ゆきさん» 励みになるコメントありがとうございます！✨ 更新頑張りますので、これからもお話を楽しんでください😊 (4月9日 18時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - めめこさんの書くお話が、占ツクに投稿されているお話の中で一番好きです。更新楽しみに待っています。 (4月4日 19時) (レス) @page42 id: 159543e1b4 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - アッキーナさん» 読んで頂きありがとうございます！嬉しいお言葉です✨ (2月8日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
アッキーナ(プロフ) - 素敵なお話すぎて一気に読んでしまいました！この先の展開楽しみにしてます。 (1月31日 16時) (レス) id: ee5b45e1af (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - 海嵐さん» ありがとうございます！今後の展開も楽しみに読んで頂けたら嬉しいです！ (1月6日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2023年12月29日 19時
