アネモネ ページ1
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"一緒に働ける仲間募集！"
まるで居酒屋のトイレにでもありそうな手書きの求人貼り紙に、私は思わず足を止めていた。
何しろ、ここはれっきとした街の花屋だ。
入口前に置かれたプランターには、私の好きな花でもある紫蘭が植えられ、水やりを終えたばかりなのだろうか、葉についた水滴がキラキラと光っていた。
今はまだ開花時期じゃない事もあり、緑の葉が茂るだけの地味な鉢植えになっている。
見た限り売り物ではなさそうだ。
そして、ガラス張りの入り口から店内をチラリと見やれば、色とりどりの花がズラリと並んでいた。
それから私は、再度貼り紙の内容に目を通す。
"一緒に働ける仲間募集！"
"給料・勤務時間は要相談！"
"人によってはフレンドリーな職場にも感じます！"
『クセが強い･･･』
この内容で、果たして問い合わせが来るんだろうか？
しかしながら、これは私にとってもある意味のチャンスだった。
何を隠そう、私の幼い頃の夢は、花屋さんになる事だったから。
話を聞いてみるだけでも損はないだろう。
私はこの店の責任者らしき人を探して、扉越しに店内を覗き見た。
すると、奥の作業台にいた男性とバチリと目が合う。
その人は、この距離でも分かる程のパッチリとした目を何度も瞬かせ、奇妙なものでも見つけたかのように、私を見ていた。
花を買う気配もなく、ずっと店先に立っていたから怪しまれたのだろうか。
私は慌てて会釈をすると、貼り紙を指差しながら、その男性を店先まで呼んだ。
すると男性は、手に赤と紫のアネモネを持ったまま、フラフラとした足取りで外に出てきてくれた。
パッチリ二重の垂れ目がとても印象的で、茄子紺色のエプロンには“村上”と書かれた名札を付けている。
それを見て、“ヴィレッジアップ”という店名に合点がいった。
恐らくこの人が店長に違いない。
『───あの、突然すみません。この貼り紙の事で少しお伺いしたくて』
実を言うと、今の私は求職中の身であった。
先日、派遣先を任期満了で退職し、現在は有給休暇を消化しながら次の仕事を探していた。
良く言えば、明日からでも働けるうってつけの人材だ。
しかし目の前の男性は、無言のまま呆けたように私をまじまじと見つめていた。
『あの･･･』
「なんで？」
なんで？
『えっと、この求人に興味があったので』
「なんで？」
え･･･？逆になんでそんな事を聞かれるのだろうか。もしかして、もう既に面接始まってる？
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めめこ(プロフ) - ゆきさん» 励みになるコメントありがとうございます！✨ 更新頑張りますので、これからもお話を楽しんでください😊 (4月9日 18時) (
レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - めめこさんの書くお話が、占ツクに投稿されているお話の中で一番好きです。更新楽しみに待っています。 (4月4日 19時) (レス) @page42 id: 159543e1b4 (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - アッキーナさん» 読んで頂きありがとうございます！嬉しいお言葉です✨ (2月8日 7時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
アッキーナ(プロフ) - 素敵なお話すぎて一気に読んでしまいました！この先の展開楽しみにしてます。 (1月31日 16時) (レス) id: ee5b45e1af (このIDを非表示/違反報告)
めめこ(プロフ) - 海嵐さん» ありがとうございます！今後の展開も楽しみに読んで頂けたら嬉しいです！ (1月6日 18時) (レス) id: ca01f690f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2023年12月29日 19時
