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『あ、えっと･･･な、なんででしょうか？』
すると、彼の大きな手がスッとこちらに伸びて、私の頬を軽く撫ぜる。
向けられた瞳に捕らわれてしまったのかと思う程、身体はおろか視線すら逸らせなかった。
そして、大倉さんは僅かにこちらへ身を寄せると、静かに口を開いた。
「───好きやから」
好き。
好き？
これ程までに、この単語の意味を考えた事がかつてあっただろうか。
それくらい、今の私には意味をうまく理解できなかった。
しかし、呆然とする私をよそに、大倉さんの言葉は続いていく。
「今日みたいにAが落ち込んでれば気にもなるし、元気んなって欲しいって思う。なんかしてあげたいって･･････出会いこそ最悪やったかもしらんけど、今はAの事もっとちゃんと知りたいって思うから。もっと、仲良くなりたいって───」
仲良く───
『あ･･･』
もしかして私、一瞬と言えどもさっきの"好き"の意味を間違えて捉えていた？
そんなの、普通に考えたらわかるはずなのに。
『───私も、です』
「え･･････！」
『嬉しいです。大倉さんに、その･･････お友達として認めてもらえた事！』
「･･････」
"好き"という言葉が、何も恋愛だけを指している訳では無い。
きっと今の大倉さんの"好き"は、友達とかペットとか、なんなら好みの食べ物とか、そういう所に向けられたものなんだと思う。
そもそも普通に考えて、大倉さんのような眉目秀麗な完璧人間が、私を恋愛相手として見る理由がどこにあるだろうか。
おこがましいにも程があると言うものだ。
一瞬でもあらぬ勘違いをしてしまった自分が恥ずかしい。
だが、当初あれだけ敵視されていただけに、彼からそんなふうに言ってもらえたのは嬉しい限りだ。
『私、もともと友達が多い方でもないですし、ましてや社会人になってから新しく友達ができた事もなかったので───ありがとうございます！』
丸山さんと話している時とは違う高揚感が、自然と私の喋り声をもハツラツとさせていく。
そして、満面の笑みのまま大倉さんを見やれば、何故か彼は無表情でこちらを見つめていた。
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匿名希望 - 更新ありがとうございます！めちゃくちゃ好きです！ (2022年10月11日 1時) (
レス) @page27 id: cc9a8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新ありがとうございます！続きがたのしみです◎ (2022年4月5日 4時) (レス) @page4 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年4月3日 17時
