■21(大倉side) ページ21
「見てへんわ。Aがそういう事に初心すぎんねん。あと、お前もスケベな顔すな」
「なっ、し、してへんわ！そんな顔･･･！」
マルはそう反論して手の甲で顔を隠していたが、覆いきれない額の方まで真っ赤になっていた。
ほんま、わかりやすいな･･･。
「じゃ、ちゃんと綺麗にしといてよ？たまに柿の種落ちてるからな？」
「え、ホンマに！？ごめん〜」
ヘラヘラと笑うマルに俺も笑みを向けると、そのままリビングを後にした。
「───よう起きひんな、こいつも･･･」
ゆっくりとAの体をベッドに下ろし、その寝顔に視線を落とす。
相変わらずぐっすりと眠っている様子に、もはや呆れを通り越して感嘆の溜息すら出そうだった。
彼女の目元にかかった前髪を払いながら、俺は静かに床へ膝を着く。
「ほんと、無防備すぎやぞ」
そして、ポツリと文句がこぼれた。
いくら相手がマルと言えど、男と二人きりの状態で眠りこけるなんて。
とは言え、相手がマルで良かった･･･。
きっと、この子の彼氏になった男は気が気でない事ばかりだろう。
それなのに、当の本人には自覚はおろか悪気も無さそうだから、尚の事たちが悪そうだ。
「何かされても文句言えへんで───」
今だって。
俺はそっと手を伸ばすと、そのままAの頬にやんわりと触れた。
男のものとは違う、柔らかで滑らかな触り心地に、つい手を離し難くなる。
しかしその一方で、この状況下でも熟睡しきっている彼女の姿に、少しの憎らしさすら芽生え始めた。
ほんまに、いつか変なやつに襲われても知らんぞ･･･。
静かに溜息を吐き出し、触れていた指先でその頬をむにっと摘む。
想像以上に柔らかかった事に少し驚きつつも、俺はそのまま軽く頬を引っ張った。
『ふぁ･･･』
無理やり引っ張られた事で開いた口から、そんな情けない声が漏れ、俺はついクスリと笑ってしまった。
そして、ひとり笑いを噛み殺していると、彼女の長いまつ毛が微かに震え、ゆっくりとその瞼が開いた。
「あ、」
やば。
起こしてしまった。
俺は慌てて手を引っ込めると、あからさまな咳払いをして立ち上がる。
『･･･え？あれ？･･････大倉さん？』
まだ半分、夢の世界にいるような呆けた顔で、Aがむくりと起き上がった。
それから辺りをキョロキョロと見回し、ボソボソと独り言をのたまっている。
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匿名希望 - 更新ありがとうございます！めちゃくちゃ好きです！ (2022年10月11日 1時) (
レス) @page27 id: cc9a8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新ありがとうございます！続きがたのしみです◎ (2022年4月5日 4時) (レス) @page4 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年4月3日 17時
