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「お、これなんてええやん！ラベルもむっちゃ可愛えし」
すると、そう言って丸山さんが手に取ったのは、雪男という米焼酎だった。
『フフ、なんだか丸山さんが持ってるイエティに似てますね』
「そう！そう思ってこれ選んだのよ！」
ラベルには、箱を背負った毛むくじゃらの雪男が描かれており、こちらを向いた真ん丸の目が、以前見せてもらったイエティのぬいぐるみにそっくりだった。
そして丸山さんは、しばらくラベルの裏書きに目を通すと、嬉しそうに口元に弧を描きながら、グラスに焼酎を注いでいった。
それを横目に、私も適当な焼酎と水を手に取ると、2つをグラスの中に注いでいく。
丸山さんとこうして肩を並べてお酒を飲むだなんて、なんだか不思議な感覚だ。
「じゃあ、有り難くいただきます！」
それから丸山さんは両手を擦り合わせると、焼酎が並々と注がれたグラスを持ち上げる。
そして、優しく細められた目がこちらを向いた。
「はい、乾杯───」
『え？あ、か、乾杯･･･！』
突然差し出されたグラスに戸惑いながら、私も慌てて自分の物を彼の方へと差し出す。
コツン、とグラス同士がぶつかる音が、私達の間で控えめに鳴る。
それから互いに同じタイミングでお酒に口を付けると、どちらからともなく溜息が漏れた。
「うんま･･･！サイコーやな」
『フフ、お好きなだけ飲んでください』
「言ったな？全部無くなっても知らんで？」
そう言って不敵に笑った丸山さんに、胸が少し苦しくなった。
まだ酔ってもいないはずなのに、なんだか目の前がクラリとして、それを追い払うように何度も瞬きを繰り返す。
「Aちゃんって、結構いける口なん？焼酎の水割って中々やんな？」
『そんなに強い訳では･･････多分、普通だと思いますよ？』
「そっかぁ。偏見なんは分かるけど、実家が酒屋さんって聞くと、やっぱお酒も強いんかなーって思ってもうて」
えへへ、と眉尻を下げて笑う丸山さんに、自然とこちらの口角も上がってしまう。
『いえ、むしろ披露できるお酒の知識も全然なくて、申し訳ないくらいです』
「何言うてねん。美味しく飲めるんが一番なんやから、なんも気にする事ないで？」
そう言って微笑む彼の優しい言葉に、心が温かくなるのと同時にこそばゆくもなる。
ザワザワと落ち着かないこの気持ちのやり場に困った私は、とりあえずグラスの中身を一口含んで飲み込んだ。
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匿名希望 - 更新ありがとうございます！めちゃくちゃ好きです！ (2022年10月11日 1時) (
レス) @page27 id: cc9a8b8ec1 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 更新ありがとうございます！続きがたのしみです◎ (2022年4月5日 4時) (レス) @page4 id: d8f1726f33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：めめこ | 作成日時：2022年4月3日 17時
